2.どのカンファレンスに参加するかを再検討する
 あなたは毎年いくつのカンファレンスに参加するだろうか。そのなかで自分が深く精通し、自分によく似た人々が集まる分野のものはいくつあるだろうか。

 興味はあるが経験はほとんどない、という分野のカンファレンスに、毎年少なくとも1つ出席するようにしよう。会場では、参加者を最も引き付けている重要課題を把握するよう努めること。あなたが直面している課題に関連しうる課題を少なくとも1つ見つけ、双方の接点について会議の参加者と話し合おう。

3.社交の場で収穫を得る
 出席したレセプションやパーティーが、自分と同類の集まりだったとしても、なかにはまったく違う背景の人が何人かはいるものだ。彼らはたいてい孤立して居心地悪そうにしているので目立つ。友人や同僚との楽な会話に落ち着く前に、そうした人を見つけ出そう。

 会話の序盤で、「今回の一番のお目当ては何ですか?」と尋ねてみる。そしてオープンエンドの質問を重ね、相手の興味の核心に迫ろう。「なるほど。それに惹かれる理由は何ですか?」。または、相手の心を開く万能の質問をする――「詳しくお聞かせいただけませんか」。そうすることで、新たな洞察を得る3つの機会が生まれる。相手の話の内容、それに対するあなたの反応、そしてあなたに対する相手の対応だ。

4.自分の多様な側面を引き出す
 生活に変化が欲しいと思っている人は、長い間無視してきた情熱に心を傾け、それに費やす時間をつくってはどうだろう。かつて持っていたはずの情熱が、型にはまった日常のなかで遠く追いやられていることがよくある。そんな情熱に再び目を向けることで、縁のなかった人々に出会える可能性が増える。新たに出会う人々は、あなた自身や仕事にきっと新たなヒントを与えてくれるだろう。

 人はみな、さまざまな自分を持っている。見知らぬ相手――特に、慣れ親しんだグループの面々とは異なる人――に対しては、新たな人格を見せることができる。いつもと違う振る舞いをすれば、相手の反応もまた変わってくる。そうなれば会話が新しい方向に開けるものだ。

5.不慣れな状況で、経験を共有する
 ジョージ・W・ブッシュとビル・クリントンは、考え方も性格もまったく違う。だからこそ、大地震に襲われたハイチへの2010年の共同訪問では互いから多くを学んだはずだ。現地の人々との接し方、そして支援策の募り方についても互いを観察できた。あなたも、異なる能力と生き方を持つ人と経験を共有する機会を模索しよう。学べることは多くあり、自分の隠れた(または忘れていた)才能や興味も発見できるかもしれない。

 これらのアプローチによって、人生観を狭める限定的な視野や経験にあなたを閉じ込める、フィルターのバブルを打ち破ることができる。予期せぬ出会いを招き、新たな思考、新たな冒険、人との新たな関わり方につながる。フィルターバブルの副作用の1つは、セレンディピティ(偶然の出会い。あるいは、それを捕らえ幸運に変える能力)を減少させることだ。しかし上記のような行動を引き起こすことで、予期せぬ出会いの頻度と質を高めることができる。言い換えれば、セレンディピティをみずからつくり出し、強みにできる。多様性にあふれる豊かな人生を生きるための、より多くの選択肢を生み出せるのだ。


HBR.ORG原文:Five Tips to Break Through Your Filter(s) October 10, 2011

 

ジョン・ヘーゲル3世(John Hagel III)
デロイトコンサルティングLLPのディレクター。デロイト・センター・フォー・エッジの共同会長も務める。HBR論文Unbundling the Corporation(邦訳『アンバンドリング:大企業が解体されるとき』DHBR2000年5月号)で、1999年マッキンゼー賞受賞。著書にジョン・シーリー・ブラウンおよびラング・デイビソンとの共著The Power of Pull (邦訳『「PULL」の哲学』主婦の友社、2011年)など、多数。>

ジョン・シーリー・ブラウン(John Seely Brown)
デロイト・センター・フォー・エッジ独立共同会長。元パロアルト研究所(PARC)所長、南カリフォルニア大学の客員研究員も務める著名な認知科学者。著書にジョン・ヘーゲル3世およびラング・デイビソンとの共著The Power of Pull (邦訳『「PULL」の哲学』主婦の友社、2011年)など、多数。
共に執筆した論文多数。『「所有から利用へ」のITマネジメント』(DHBR2001年12月号)、『「所有から利用へ」の成長戦略』(DHBR2003年2月号)、『もはやITに戦略的価値はない』(DHBR2004年3月号)、『摩擦のマネジメント』(DHBR2005年9月号)、『シェイピング戦略』(DHBR2009年11月号)、『大転換を見極める指標』(DHBR2009年11月号)など。