なかには画質が荒れているものまであったりするのですが、そこから伝わってくるのは、視聴者を顧客というよりも、まるで個人的な知人のように扱うことで、互いにフレンドリーな関係を築いていこうとするオープンな姿勢です。

 実際、彼は『WIRED JAPAN』のインタビューのなかで、バーバリーがデジタルを活用する理由について次のように答えています。

 「もともとわたしは人を萎縮させるような雰囲気が苦手です。リアルな店舗にしても温かくてフレンドリーでウェルカムな感じのほうが好きですし、無愛想で自分が場違いな気にさせられるような空間にはいたくありません。いわゆるラグジュアリーブランドが、デジタルに対して神経質になるポイントは、ここにあるのかもしれません。人を場違いな気分にさせるほうがたやすく、逆に、客がいつ来ても温かく迎えられるような場所をつくり上げること、それも媚びることなく、かつうわべだけではないやり方でやることのほうが、はるかに難しいのです。わたしがデジタルの世界を好ましく思うのは、そこではすべてがオープンで透明だからです」(「ファッションブランドはアップルを目指す クリストファー・ベイリーが語る、バーバリーのデジタル戦略」より)

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ショーの途中で「アナ・ウィンターがいる!」とつぶやいているのは、バーバリーの公式アカウント。この隠し撮り目線が、ネットユーザーの好奇心を代弁している。

 ユーザーと同じ目線で情報発信することを好むベイリーCCOのスタイルは、バーバリーのプロモーションにおいて、こんなかたちでも表れています。

 コレクションの当日にはバーバリーのツイッターアカウントで、ランウェイに向かうモデルたちの様子といった舞台裏の写真をリアルタイムで配信する取り組みを2012年からスタート。人々が見たいと思っても、なかなか見ることができなかった光景を公開しました。なかには「フロントローにアナ・ウィンターを見つけた!」といったつぶやきもあるように、“ユーザーの目線”というスタンスはここでも一貫しています。