こうしたバーバリーの取り組みは、ほかのラグジュアリーブランドにも影響を与え始めています。今年1月16日に行われたルイ・ヴィトンの2014年秋冬コレクションでは、ショー終了直後から新作バッグを含む一部製品のオンライン予約を受け付けたのです。これは同ブランドでは初めての試みです。

 ラグジュアリーブランドのコレクションでは今やショーのライブ中継が当たり前になったように、eコマースでもユーザー基準に合わせて行くことが一般的になっていくのかもしれません。

ソーシャルメディアは人間と人間をつなぐためのアーキテクチャ

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田端信太郎氏:LINE株式会社執行役員広告事業グループ長。LINEやNAVERまとめ、livedoorの広告マネタイズを統括。著書に『MEDIA MAKERS』(宣伝会議)がある。

 「ただ、双方向型のコミュニケーションをブランドが取り入れていくときに注意が必要なのは、ソーシャルメディアとは基本的に人間と人間が交流するためのアーキテクチャだということを忘れてしまい、一方的なPRばかりになってしまうことです」

 そう語るのは、LINE株式会社執行役員広告事業グループ長の田端信太郎氏です。企業やブランドが匿名のまま生活者とつながろうとしても、そこに個人的な絆を感じてもらうことは難しい。では、具体的にはどうやってユーザーと向かい合っていけばいいのか?

 「結局、方法としては1つしかないと思います。ソーシャルメディアの属人性をわかったうえで、ユーザーに人間らしさを感じさせるようなコミュニケーションをすること。ソーシャルメディアを本当の意味で活用するなら、“名物広報さん”のように、誰かがそのブランドのメッセンジャーを引き受けなければならないんです。ブランドイメージを重視するラグジュアリーブランドであれば、CEOやデザイナーがブランドの『顔』となって自ら情報発信をすることに可能性があるのではないでしょうか」(田端氏)

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YouTubeのバーバリー公式チャンネルでコレクションの見どころを語るクリストファー・ベイリーCCO。設営途中の会場内で撮影しているが、ラグジュアリーブランドの公式なメッセージ映像としては滅多に見られないものだ。

 バーバリーはラグジュアリーブランドのなかでも、CEOやデザイナーがソーシャルメディアの活用に積極的なブランドです。YouTubeのバーバリー公式チャンネルにはショーやキャンペーンの映像のほか、アンジェラ・アーレンツCEOやクリストファー・ベイリーCCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)のインタビューなどがまとめられています。そのなかでも特に興味深いのは、ブランド全体のデザイナーであるベイリーCCOがコレクションの前後に配信していたメッセージ動画です。

 ほとんどのラグジュアリーブランドでは、デザイナーのインタビューやメッセージ動画はブランドの華やかなイメージを壊さないようにスタジオやアトリエで収録されます。しかし、ベイリーCCOのメッセージ動画は、ときにロンドンの街路や騒がしいパーティー会場、そして、まだ工事をしている最中のコレクション会場などで撮影されています。しかも、カメラの向こう側にいる“私たち”に直接語りかけるような親しさで話しているのです。