新興国のパイオニア

以下に、新興国市場でかつてないレベルの成長と機会に投資してきた起業家のなかから3人のストーリーを紹介したい。

アナンド・マヒンドラ
マヒンドラ・アンド・マヒンドラ 会長兼マネージング・ディレクター

「もし10年前にあなたがたが私たちの会社を見て、私が売上を10億ドルから140億ドルに増やすと言ったとしたら、きっと信じてくれなかったでしょう。でも、それを私たちは達成したのです。10年後には、量・質両面で世界で最も尊敬されるブランド、トップ10に入りたいと思っています」
                     ――アナンド・マヒンドラ

 アナンド・マヒンドラ氏は、アクセルレーター・マインドをもつ才気あふれるリーダーである。1977年にハーバード大学をきわめて優秀な成績で卒業し、1981年にハーバード・ビジネススクールでMBAを取得。ビジネススクール修了後、帰国して親族が経営する企業グループに入社し、昇進を重ねてマネージング・ディレクターになった。彼は、欧米式のマネジメント・スタイルと、アジア的な大志やイノベーションを組み合わせて、オフロード車と農業用トラクターのインド最大メーカーであったマヒンドラ・アンド・マヒンドラ(M&M)を、わずか30年でグローバルな有力企業へと変身させた。

 彼のリーダーシップの下、M&Mは韓国の自動車会社、電気自動車メーカー、欧州の複数の自動車部品メーカー、さまざまなIT企業を買収し、宇宙航空機企業にも出資した。そのほか同社の事業は、不動産、金属、投資ファンドなど多岐にわたる。同社の成功のひとつが、初のインド製世界市場向けSUV、スコーピオだ。また、トラクターでは、インド市場で40%を超えるシェアを有している。

 ディアなどと競合する米国の農業機械市場では、いくつかの州の小型トラクター市場で20%程度のシェアを獲得している。また、中国のトラクター市場では最大手の一角を占めるが、目標はナンバーワンになることである。「人生は短いのだから、ナンバー2なんかじゃいられない」とアナンド・マヒンドラ氏は話している。

 このようにM&Mはグローバル市場で高いポジションを獲得しているが、それでもマヒンドラ氏は母国市場に多大な投資機会があると見ている。「もし私にさらに何十億ドルもの資金があったら、もちろんインド国内への投資を続けます。私たちのグループには十分な規模があります。実のところ、グローバル化を進めるインド企業に投資するなら、それは世界に投資しているということだと私は考えています」