経営資源が少ない小規模企業は、資源を無駄にしない方法をバリューチェーン全体から考える必要がある。たとえば、従来は固定費と考えられていたものを変動費化することで、コストを削減できるかもしれない。インドのバーティ・エアテルは、モバイルネットワークのインフラ構築でこれを成功させた(訳注:同社は通信ネットワークの構築と管理を全面的にアウトソーシングし、費用を使用量と収益に連動させることで大幅なコスト削減を実現した。詳細はこちら)。ナチュラは、大学をパートナーとして研究開発費を分担し、過去2年間に商品化したイノベーションで売上げの65%を創出している。HTCやレノボは、PRにブログやSNSなどの無料メディアを活用して成長した。またハイアールやウィプロは、有力ブランドとパートナーとなることで、「ブランド提携による品質向上効果」を実現した。

 また、ほとんどのEMNCsの企業は、狙いを定めた領域で力をつけていくのに長い時間を要することも覚えておくべきだ。研究開発や技術、イノベーション、設計能力といった重要だが欠けている部分を、買収するか構築する必要がある。拙著ではインドのアポロ・タイヤやタタ・モーターズ、台湾のHTCやマイタックなどの方法を取り上げている。また企業買収によって、入手しにくい原材料を確保したり(タタ・グローバル・ビバレッジ)、流通チャネルを確保したり(家具メーカーのヴィトラがビレロイ&ボッホを買収)する例もある。さらに、より高水準で持続的な利益を得るために、ブランドの名声や地域市場に関する知識も、自社で獲得するか買収する必要がある(トルコの食品メーカーのウルケルはゴディバを買収)。加えて、組織の人材も時間をかけて育てていく必要があるが、これは最大の課題となるだろう。

 経営資源がひどく限られていても、小規模企業は大手に対抗できる。必要なのは、経営資源の制約を重々ふまえ、巧みに克服する競争戦略なのだ。

 

HBR.ORG原文:What Small Business Can Learn from Emerging Market March 14, 2013

 

ラジーブ・バトラ(Rajeev Batra)
ミシガン大学ロス・スクール・オブ・ビジネスのS.S.クレスゲ記念講座教授。マーケティング論を担当。

アミタバ・チャトーパディアイ(Amitava Chattopadhyay)
INSEAD教授。マーケティング論とイノベーション論を担当。

アイセガル・オズソマー(Aysegul Ozsomer)
トルコのイスタンブールにあるコチ大学教授。マーケティング論を担当。