●研究開発
 アップルは比較的少ない研究開発費(マイクロソフトは売上げの15%、アップルは2.2%)を、消費者を喜ばせるイノベーションに集中させている。同様に、中国の家電メーカーのハイアールは、これまで無視されてきたセグメントに的を絞った。寮の部屋やワインセラー用の小型冷蔵庫である。インドの製薬会社のランバクシー・ラボラトリーズは、新たな分子の開発よりも、医薬品の流通の仕組みを変革することを選んだ。

●マーケティング
 サウジアラビアのサボラ・グループ傘下のアフィア・インターナショナルと、インドの消費財メーカーのマリコは、それぞれの食品油事業とヘアオイル事業で、複数のブランドを展開せず1つの巨大ブランドに集中させている(アフィアは〈サフォラ〉、マリコは〈パラシュート〉)。インドの自動車メーカーのマヒンドラは、アメリカでのトラクター事業を50州すべてではなく2つの州に絞って展開、成長を遂げている。インドのITサービスプロバイダーのウィプロは、130万ドルのマーケティング費用を(IBMは1億5000万ドル以上)、同社のターゲットである「フォーチュン1000」企業のCTO(最高技術責任者)にアプローチするために成田空港、ジョン・F・ケネディ空港、ヒースロー空港のラウンジに絞って投入している。

●新規顧客
 低予算で新規顧客を獲得できる場所はどこだろうか。予算の限られた企業は、有力ブランドを確立するのは難しい。そのため、ブランドではなく機能を基準に購買を決める顧客セグメントのほうが、ターゲットとしやすい。レノボは消費者市場を狙う前に、中・大規模企業をターゲットとした。ハイアールはアメリカの事業で、最終消費者よりも卸売業者のほうが獲得しやすいと考え、「プル」戦略ではなく「プッシュ」戦略を用いている。

●新市場
 十分にサービスを提供されていない、特殊なニーズのある市場セグメントも開拓する意義がある。なぜなら、大企業はそうした市場にまで対応しないことが多いからだ。たとえば、マヒンドラはアメリカやオーストラリアで、造園会社や趣味で農業を行う人をターゲットとして、100馬力以下のトラクターを販売した。洗濯機で北米市場に進出した韓国のLGは、高成長の兆しがあったが十分な商品が提供されていなかったドラム式のセグメントに的を絞った。停滞している市場からシェアを奪うよりも、成長カテゴリーに新たにやってくる顧客を獲得するほうが、簡単だからである。