●自分は上司に信頼されているか?
 あなた自身の能力と人間性を、上司が満足するレベルで示しているだろうか。この2つは、相手の信頼を得るうえで決定的に重要となるものだ。上司は、あなたが目的と手段をきちんと心得ていると思っているだろうか。あなたの価値観、基準、意図は評価されているだろうか。自分の言動を通して、それらを上司に示しているだろうか。上司に影響を及ぼすためには、まず相手の信頼を得る必要がある。

●自分と上司は、現状を同じように受け止めているか?
 直面している共通の問題を、同じように受け止め、進むべき方向と取るべき方法を共有しているだろうか。そもそも、上司がどのような問題に直面しているのか、あなたは理解しているだろうか。そうでない場合、上司は問題解決に対するあなたの貢献を上司が疑ったとしても致し方ないだろう。

●上司を権威者としてだけでなく、ひとりの人間として見ているか?
 上司という立場にはあるが、彼らも私たちと同じ不完全な人間である。それぞれの生い立ち、教育、経験によって人間性が培われ、希望や野心、苛立ち、強み、弱み、不安を抱いている。上司の視点で物事を考えられるほど、当人を理解しているだろうか。通常の人間関係と同じように、上司についての知識を活かしながら当人に接しているだろうか。

●上司の強みと弱みを見極めているか?
 上司の弱みばかりが目につくかもしれない。しかし、他の人に接する場合と同じように、上司の強みにも目を向ける必要がある。相手の強みを活かす方法、そして弱みを埋め合わせ克服に手を貸す方法を考えよう。弱みをまったく持たない上司など、存在しない。自分が周囲に望むのと同じ寛容さを持って、上司を評価しよう。

●無意識のうちに、自分の感情的なしこりを上司との関係性に持ち込んでいないか?
 私たちの多くは、権威者を相手にしながら成長していく過程で、自分に対して権限を振るう人物を――まずは両親から――毛嫌いし、疑うようになる。上司に対するあなたの態度は、当人との直接的な体験ではなく、過去に他の人々との経験を通じて培った感情や態度に基づいてはいないだろうか。

 上司と自分、という重要な関係に対して、みずから責任を負ってほしい。いろいろ試してみて、何が可能かを見出そう。協力する余地がほとんどないような悪しき上司もなかにはいるが、ほとんどの上司は、私たちと同じように好き嫌いや弱みと強みを持った人間なのだ。世の仕組みとして、部下と上司が対等な関係になることはない。しかし、互いに支え合うことは可能であり、互恵的な関係へと発展させることも可能なのである。


HBR.ORG原文:In Pursuit of a Better Boss May 25, 2011

 

リンダ・A・ヒル(Linda A. Hill)
ハーバード・ビジネススクールのウォーレス・ブレット・ドナム記念講座教授。経営管理論を担当。主な著書にBeing the Boss: The 3 Imperatives for Becoming a Great Leader(邦訳『ハーバード流ボス養成講座 優れたリーダーの3要素』日本経済新聞出版社)がある。

ケント・ラインバック(Kent Lineback)
著述家。リンダ・ヒルとの共著Being the Boss: The 3 Imperatives for Becoming a Great Leader(邦訳『ハーバード流ボス養成講座 優れたリーダーの3要素』日本経済新聞出版社)がある。