2011年5月に開催されたこのイベントでは、ランウェイショーの演出で最新のテクノロジーを取り入れました。ホログラムのモデルと現実のモデルたちを一緒に歩かせ、どこまでが現実で、どこまでがバーチャルなのかわからない世界観を提示。そうすることで、リアルな現場とネット視聴でそれぞれショーを見ている人に同じ価値を提供することを狙ったのです。

 現在もYouTubeでこのときの模様を観ることができますが、テクノロジーがもたらす驚きと、現実のファッションが持つ魅力が融合され、デジタルでもラグジュアリーは表現できるということの、ひとつの方向性を示すことに成功しています。

アップルやグーグルと並び、「もっともイノベイティブな企業」にも選ばれている

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ムラカミカイエ氏:グローバルブランディングカンパニー「SIMONE」代表。デジタル施策を軸とし、国内外のファッション、ビューティー、ラグジュアリーブランドのクリエイティブディレクション、コンサルティングを数多く手掛ける。

 ここまで、バーバリーのデモクラティック・ラグジュアリーという理念は「フラットなオンライン空間で、いかにしてラグジュアリーを表現するのか?」という課題に対する回答であり、それがカスタム可能なトレンチコートに象徴されていることを見てきました。

 そしてそれは、1856年創業の老舗ブランドを劇的に若返らせ、デジタル化を推進する以前には対象としていなかった新たな顧客層の獲得へとつながったのです。

 ラグジュアリーブランドのプロモーションを多く手がけるグローバルブランディングカンパニー「SIMONE」代表のムラカミカイエ氏は「ネットやデジタルテクノロジーを積極的に取り入れたブランドになったことで、バーバリーはイギリスの伝統的な老舗ブランドというだけでなく、何より『ユーザーに未来を感じさせてくれるブランド』として受け取られるようになりました」と評します。

 実際、バーバリーはラグジュアリーブランドであるにもかかわらず、海外のメディアから、アップルやグーグルといったシリコンバレーの企業と並んで“イノベイティブな企業”に選ばれるほど、先進的なブランドと見なされています。米ビジネスメディア『FAST COMPANY』が発表した「もっともイノベイティブな企業ランキング2013」でも、リテール部門でナイキに次ぐ2位にランクインしました(ちなみに、3位はセブン・イレブン)。