フラットなオンライン上で、どうやって“特別感”を感じさせるか?

 ラグジュアリーブランドによる双方向型のコミュニケーションが高級品への消費につながるためには、ラグジュアリーならではの“特別感”も相手に感じさせなければなりません。ネットはユーザーの属性で区別しないフラットな世界のため、ブランドの世界を単純にオンラインへと開放するだけでは不十分なのです。

 つまり、ネット上の匿名の人々を相手にしながら、どうやって“あなたのため”というメッセージを表現するのか。そんな課題の解決策として見えてくるのが、トレンチコートのカスタムメードオーダーです。

 ちょっと敷居が高そうな高級店ではなく、誰でもアクセス可能なネット上でカスタムメードを受け付けることで、開放的でありながらも、特別な商品であることを両立させる――。バーバリーがトレンチコートを自由にカスタムできるようにしたのは、そんな理由があったのです。

 アーレンツCEOはこの姿勢を、「デモクラティック・ラグジュアリー」と定義しています。トレンチコートというブランドのコアな部分において、民主的、すなわち開放的であることと、ラグジュアリーであることの両立。人々が自由に意見を言い合うソーシャルメディア時代において、そのデモクラティック・ラグジュアリーの実現に向けて数々のデジタル施策を行ったことが、バーバリーの驚異的な成長を支えた原動力になったわけです。

 また、バーバリーはショーの演出においても、デジタル環境におけるラグジュアリーを表現することにチャレンジしています。前出の田端氏が言います。

 「オンラインでショーやイベントを配信するとき、“特別感”があるのはあくまでリアルなフロントローの席であって、ネット視聴はその“おこぼれ”にあずかっているように見えたら台無しですよね。だから、バーチャルとリアルの垣根を取り払うことを、ショーの演出においてもブランドのメッセージとして打ち出さなければネット視聴がラグジュアリーな体験にならない。それをはっきりと意識したバーバリーのショーが、北京旗艦店のオープニングイベントだったと思います」