文書化された計画は、近い将来を対象とし、場合によっては2~3年先を見据えることもある。これに対して、文書化されない計画は、遠い将来に起こりうる、まだはっきりと見えない出来事に考えを馳せる。たとえ視界が不明瞭でも、今後やって来るのが雷雲なのか晴天なのかを見分けるために、できる限り遠くまで目を凝らす必要がある。漠然とした将来が次第に近づき焦点が合ってきたら、そこで見えたものを文書化された計画に反映させればよい。

 慎重に文書化された計画には、具体的な目標、達成すべき事項、作業工程、明確化された前提などが含まれる。文書化されない計画に含まれるのは、直観、曖昧な目標、基本的な方向性、勘、大まかな優先順位などである。時間をかけて、粘り強く情報を集め、アイデアやアプローチを試していくなかで、次第に曖昧さが消えて明確になり、漠然としたものが具体的になり、言葉にならなかったものを文書化できるようになるだろう。

 文書化されない計画には、チームメンバーについての流動的な評価も含まれる。マネジャーであるあなたは、部下が現在と将来の責任を果たすのに十分な能力を有しているかどうかを、常に評価しなくてはならない。その一部は文書化されるかもしれないが、大部分はそうではない。

 文書化されない計画には、自分のネットワークについての評価も含まれる。この人脈は、現在と将来の計画をどれだけ後押ししてくれるのか――時とともに、その見解も変化していく。同僚に何を提供してもらう必要がありそうか。彼らはあなたに何を求めてくるだろうか。計画によって人脈の構成や役割はどう変わるだろうか。誰がどのような理由から、計画に反対しそうか。こうした判断の一部は文書化された計画に反映されるかもしれないが、ほとんどはそうならないままであろう。話し合いに向けたアイデアや意見として書き留められるものもあるかもしれない。その場合には、ブログやウィキを用いると便利だ。

 つまり、文書化された計画に含まれるのは、あなたが考えている計画のうち次の条件を満たすものだけである――明確かつ具体的で、焦点が絞られ、熟考を経て、正式な(かつ公式の)「計画書」として公表できそうなものだ。文書化されない計画は、将来の展望とその実現方法に関するあなたの考えとチームの総意だが、そこには曖昧な直感や走り書き程度のアイデアも含まれる。文書化された正式な計画は要所要所で作成されるものだ。文書化されない計画は、生き物のような動的な可能性である。あなたが経験から学び、チームやネットワーク内で議論を重ねるにつれて、たえず変化していく。

 文書化されない計画は自然にできあがるものと、決めつけてはならない。ただし、遠方に積極的に目を向け、情報を能動的に集め、さまざまな可能性について意識的にチームやネットワーク内の人々と話し合い、知り得た情報を秩序立てて反映させなくてはならない。普段からこれらの手順を踏んでいないと、自分が望む将来を明確に描き、実現することはできないのだ。


HBR.ORG原文:Your Crucial – and Unwritten – Plan May 10, 2011

 

リンダ・A・ヒル(Linda A. Hill)
ハーバード・ビジネススクールのウォーレス・ブレット・ドナム記念講座教授。経営管理論を担当。主な著書にBeing the Boss: The 3 Imperatives for Becoming a Great Leader(邦訳『ハーバード流ボス養成講座 優れたリーダーの3要素』日本経済新聞出版社)がある。

ケント・ラインバック(Kent Lineback)
著述家。リンダ・ヒルとの共著Being the Boss: The 3 Imperatives for Becoming a Great Leader(邦訳『ハーバード流ボス養成講座 優れたリーダーの3要素』日本経済新聞出版社)がある。