新興国のインフラ整備と
先進国のインフラ老朽化

 今、世界のインフラ需要は急速に拡大していますが、それには2つの背景があります。新興国の発展による社会インフラ整備の加速と、先進国での社会インフラの老朽化です。

 前者については、アジア開発銀行の試算によれば、2010年から20年の11年間で、アジアで必要なインフラ投資は約8兆ドル(約800兆円)に上ります。また経済産業省などの報告によれば、世界の水ビジネスの市場規模は2007年の約36兆円から25年には約87兆円に拡大し、鉄道インフラ市場は20年には現在の2割増の約22兆円になると予測されています。

 後者については、アメリカでは1930年代のニューディール政策で大量に造られた道路や橋梁、トンネルなどが老朽化してトラブルが多発していますし、ロンドンでは100年以上も前に造られた上水道の漏水率が25%を超え(東京では4%以下)、大規模改修が急務です。


 こうしたインフラ関連の海外需要を取り込むために最も重要なことは、単にハード機器を受注するのではなく、インフラシステムの設計から施工、さらには稼働したシステムのオペレーションまでを請け負うことです。

 社会インフラは設備や機器を設置し、それが大きなシステムとして動いて初めて意味を成します。実際、現在の社会インフラ技術やシステムは非常に高度化されており、運営する人的・組織的な体制や能力もまた複雑化しています。

 単純な機器輸出では、日本で鍛えられたポテンシャルの高さを海外で発揮するには至りませんし、人材蓄積や組織経営のノウハウが不十分なままでは、当事国の発展にも貢献できません。日立製作所がロンドン近郊の鉄道路線で、川崎重工業はインド新幹線で、ハード機器だけでなく信号機器や運行システムも含めたワンパッケージ受注に成功した例は、多くの示唆を与えてくれます。