ライフスタイル変化に関連する成長機会

 インターネットの普及は先進国と新興国との格差を埋める方向に作用するため、新興国市場の「消費社会化」が思いがけないスピードで実現する(リアルの店舗網の整備よりも早く、消費文化が形成される)可能性もある。端的に言えば、固定電話や携帯電話の時代を通過せずに、いきなりスマホの時代に突入する人たちが多くいるのである。新興国においても都市部での宅配物流網は整備されてきており、国内の卸や小売りを経由した商品を店頭で買うよりも、海外業者のサイトにスマホで注文して自宅に届くのを待つほうが普通になっていくのかもしれず、そうした業者にとってはビジネスチャンスが予想外に早く広がる。

 ネットを利用した販売においては、企業が一方的に情報を流すマス広告よりも、消費者の感想などが載ったサイトのほうが重視されるようになってきている。いわゆるソーシャル・メディア・マーケティングなど新たな形のビジネスモデルが展開していく可能性が高いが、これは消費者が相対的にパワーを持つ世界に移行していくことを意味する。このような世界では、新規顧客を大量広告でとってくるビジネスよりも、既存顧客をきちんと維持し、リピート購買や重ね買いなどで売上げを拡大するモデルのほうが事業効率は高くなる。

 デジタル化は職場の生産性にも大きな影響を与え、新興国(工場だけでなくホワイトカラー職場も)でも十分に仕事が回せるようになる。販売市場と生産・調達の情報を直結してオン・デマンド型に近い生産・物流体制を実現したり、新興国内に集約化・リモート化の進んだバックオフィス業務を実現したりすることが当たり前になる。これは裏を返すと、本社所在国でやらなければいけない仕事が相対的に減っていくことでもある。

 そうなると、日本企業の仕事の多くは日本本社では完結しないことになり、外国人社員(その多くは中途採用)と仕事をすることが当たり前になる。日本企業でもダイバーシティ(女性、外国人、中途採用など)が重視されるようになり、結果として女性の活躍の場が増えることになるかもしれない。そうして共稼ぎ家庭が増える一方で、高齢化の進行に合わせて単身世界も増えていく。このことは家庭内の仕事の外注化、つまりサービス利用の増加につながっていく。日本はこの点で世界に先駆けており、日本で成功したサービス事業は海外(とくに都市部)にもビジネスチャンスが広がっていくことになる。