人口シフトに関連する成長機会

 世界の人口増と都市化の進展によって生活用水の不足問題が深刻化するが、とくに中国、南アジア、アフリカでの不足に対処するための投資が必要となる。また、新興国で都市の生活用水が優先されると農業用水も不足することになる。こうして食料問題が深刻化するため、耕地面積(用水利用量)当たりの収穫高を高めるような技術を新興国に普及させることが求められる。そのため、灌漑化技術、農業機械化、農業化学(農薬・肥料・種子など)に強みを持つ企業にとってはビジネスチャンスが大きく広がる。

 また、新興国の急激なメガシティ化に対処するには、安全・衛生、公共交通(渋滞緩和)、エネルギー供給など多様な分野で「スマート化」が必要である。通常はこうした事業は政府や自治体が行うと考えられるが、高度成長期の日本で東急や阪急などの私鉄が成功させたようなビジネスモデルにも十分に可能性がある。つまり、通勤鉄道を敷設し、周辺の用地も買収して宅地を造成し、電力、上下水道、ごみ収集、警備などのサービスを民営で提供するのである。こうしてブランド力の上がった宅地を分譲すれば、大きなビジネスとなる。地場の資本と組んで日本のノウハウを注入すれば、できない話ではない。

 新興国で都市化が進むということは、それだけを見ても大きなビジネスチャンスである。団地などに住む給与所得者が急増し、家財道具を購入し、さまざまな消費財やサービスを購入するようになるからである。海外に事業進出するというと、通常は「どこの国」に進出するかを考えるが、これからは「どこの都市」に進出するかを考えたほうがよいかもしれない。都市圏に市場を絞れば、サービス業であっても海外進出は現実性が高まる。製造業は地元メーカーの段違いな安さと戦わなければならないが、サービス業(小売業や外食業も含む)では地元の人材をどう活用できるかが成功のカギを握ることになる。