――東洋経済オンラインのリニューアル後、ブランドを新しいイメージにつくり変えているということですね。

 そうです。しかし、そろそろ一度、東洋経済らしさや東洋経済のブランドとは何かということを、皆で議論しなければならない時期にきているのかもしれません。本当に東洋経済的な部分と、今の時代に合った部分とを組み合わせて、新しい東洋経済のブランドをつくらなければならないと思っています。

 私がやっていることは、ブランド価値を下げる行為だと考える人もいると思いますし、扱っている記事が軽すぎるという意見もわかります。ただ、いろいろなコンテンツがあったほうが面白いと私は考えています。ビジネス記事にもエンタメ的要素が必要です。

 紙メディアは例えるなら映画に似ていると思います。クオリティが高くて、作りこんでいる。一方、ウェブメディアはテレビに似ている。広告モデルなので、NHKではなく民放に似ています。民放には、報道だけでなくバラエティもあります。ネットメディアは、硬派なジャーナリズムも手掛けながら、バラエティ的なものをどううまく組み込んでいけるかが、カギになると思います。

 私のやり方はやりすぎな部分もあるかもしれませんが、そこで萎縮して失敗をおそれすぎたり、紙と同じような編集体制を敷いたりすると、面白さが半減してしまいますし、コストも上がります。ウェブメディアには、紙とは違うウェブメディアにあった編集体制があるはずです。その答えを見つけるのが難しいんですけどね。

――とはいえ、これだけは守ろうと思っているものはありますか。

 意見の多様性です。いろいろな意見を載せるように努めています。意見の違いに関して訂正することはありませんが、記事の内容自体が間違った時に、謝ることだけはしっかりやろうと思っています。紙よりもミスが多くなりがちな分、間違った時はきちんとお詫びをして訂正していきます。記事の内容を変えたものに関しては、明確に記載するというルールも作っています。

 私たちは「新世代リーダーのためのビジネスサイト」という理念を掲げました。一番やりたいのは、新しい日本にシフトする速度を速めることです。今の日本全体、とくにビジネス面での動きが遅いのは、企業社会を中高年が牛耳っているからではないでしょうか。30代の新しい考えを持つ人が中心となる速度、その人たちの考え方が広まる速度を速めていきたいと思っています。

 今の日本には、若者の意見を代弁する経済メディアは見あたりません。変化の時代に強いのは、若い世代です。その人たちの声を拡大する、拡声器となって、日本の変化のスピードを速くしたい。そのために、企業、個人、価値観などあらゆる面で、日本の新しいロールモデルをいちはやく紹介していく。それが私たちのビジョンです。

――そのような媒体になるというビジョンは、東洋経済のブランドにとっても正しいことでしょうね。

 健全なる経済社会をつくるというのが、東洋経済の理念です。何を持って健全というかは難しいと思いますが、イノベーションが生まれる社会の方が健全だと思います。

 東洋経済カルチャーを体現する石橋湛山は、開明的な人物で、女性の登用などもいち早く唱えていました。今のやり方を、石橋湛山がみたら応援してくれると思うんですけどね。逆に、「おまえは軽すぎる」と叱られるかもしれませんが(笑)。

――最後に余談ですが、もし佐々木さんが今のハーバード・ビジネス・レビューの編集長だったら、どのようなことをしますか。

 うーん、今のままでも良いかなと思いますが、やっぱり、動画でしょうか。あとはブランドを活かして、大規模なイベントを企画するのも手ではないかと。

――わかりました、編集長に伝えておきます。本日はありがとうございました。
 

 

【連載バックナンバー】
前編:東洋経済オンラインさん、次は動画コンテンツをつくるって本当ですか?