組織文化の構築を支援するコンサルティング会社、カルチャロロジー(Culturology)のマイク・ブレナーとスティーブ・ヴァン・ヴァリンは、従業員のエンゲージメントを維持するための「意義の増幅」について語っている。仕事の意義は複数の要素がスパイラルになって構成されるという。その起点となるのは、個人的な目的の達成(家族の扶養、やりがいのある仕事での進展など)である。やがてスパイラルはより広範囲の他者に関連していく(健全で優秀なチームや組織の一員として働くこと、顧客にポジティブな影響を与えること、コミュニティや国への貢献)。そして最終的には、最も広く高次の目的へと至る(社会奉仕、世界の人々への支援)。自分が何らかのかたちでいずれかの目的を果たしていると感じている従業員は、高い意欲を持つという。

 これを実現するために、リーダーがやるべきことは2つある。1つ目の課題は、従業員の仕事が上記で挙げたような意義にどう関連しているかを、当人たちに伝えることである。そのためによい出発点となるのは、ミッション・ステートメントを明確に打ち出すことだ。次に挙げる2つの理念を、先のものと比べてみよう。

「人々の心を豊かで活力あるものにするために−−ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」(スターバックス

「最高の製品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。そして、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」(パタゴニア

 これらのステートメントは、企業の取り組みが顧客、コミュニティ、世界にどう貢献するのかを伝えている。

 残念ながらほとんどのミッション・ステートメントが、口先だけのお題目になってしまっている。そこで謳われている価値観を、マネジャーが日々実践していないのだ。それゆえリーダーの2つ目の課題は、ミッション・ステートメントをきちんと実行することである。我々の研究による「進捗の法則」が示しているように、企業は従業員が意義のある目標を達成できるよう、実質的な支援を提供する必要がある。意欲にあふれた従業員が優れたパフォーマンスを見せている優良企業では、あらゆるレベルのリーダーが部下を尊重し、最高の仕事をするために必要な自由裁量、支援、資源、時間を提供しようと努めているのだ。


HBR.ORG原文:To Give Your Employees Meaning, Start With Mission December 19, 2012

 

テレサ・アマビール(Teresa Amabile)
ハーバード・ビジネススクール(エドセル・ブライアント・フォード記念講座)教授。ベンチャー経営学を担当。同スクールの研究ディレクターでもある。

スティーブン・クレイマー(Steven Kramer)
心理学者、リサーチャー。テレサ・アマビールとの共著The Progress Principle(進捗の法則)がある。