10年後、どの本が読み継がれているか

 時代を超えて読まれる本を評価したい理由は、書籍本来の特性を感じるからです。書籍のいいところは、会ったこともない人(著者)の考え方を知ることができる点です。友人の書いた本も興味深いですが、普通では会えないような知の巨匠の考えを知る手段として書籍の醍醐味があります。さらに、時代を超えて過去の偉人の考えに触れることができる。これこそ書籍の最大の特性だと思っています。

 さて、今回のベスト経営書のリストです。選者は本誌の読者ということで、セミプロ的な人たちです。彼らが読んで「人に勧めたい」「後世に残したい」という本を選んでもらいました。何部売れたかは関係ありませんが、どれだけ素晴らしい内容でも読んだ人がいなければ候補にすら上がりません。多く読まれた本が「良書」の候補に挙がる確率が高くなるという統計的な理由から、ベストセラーが入るのは当然あるでしょう。2位の『採用基準』や5位の『不格好経営』はそもそも読んだ人が多く、その中から多くの支持を得たのです。一方で、6位の『戦略読書日記』や7位に入った『経営は何をすべきか』はベストセラーランキングにほぼ出てこない本です。このあたりが入ってくるのが、今回のランキングの特徴を言えます。

 では、今回ランキングに上がった本が10年後に何冊読み継がれているでしょうか。実はこれは最も興味深いです。これは予想すべきものでもないし、「残すべき」という価値観を持ち出して議論しても面白くありません。著者も後世の人に読んでもらうことを意識して書いているかどうかわかりませんが、結果として残る本と残らない本がある。そして、いまどの本が残るか誰もわからない。10年後にどの本が残るのか、いまから楽しみです。(編集長・岩佐文夫)