■ボディ
 ボディは本論の部分であり、主張をしっかりと支えるパートです。できるだけシンプルに構成し、主張との関係を分かりやすい形で展開することが望まれます。そうすることで、聴き手にロジカルに訴えることができるからです。チームジャパンは、5人でこの役割を担いました。

 まず、水野正人招致委員会副理事長が、東京は、財政・スポーツ両面から、オリンピック・ムーブメントの成功をしっかりと支えることが可能であると説明しました。競技のテレビ放映権や観戦チケットの収入、21社の企業スポンサーシップにより、IOCは財政面を心配することなくオリンピズムの普及に専念できる。また、絶好のロケーション、広さ、快適さを誇る選手村、座席で開会式を楽しめるスタジアム、移動に便利なコンパクトな会場設計など、大都市の中心部で開催できるメリットを伝えました。数字を添え、具体的な根拠を示すことで、説得力を高めました。

 次に、招致委員会会長の猪瀬直樹東京都知事、招致”Cool Tokyo”アンバサダーの滝川クリステルさん、オリンピアンで招致アドバイザーの太田雄貴選手が、大会の確実な成功について、東京が十分に責任を果たすことができることを示しました。ここでも、具体的な根拠がしっかりと示されています。

猪瀬都知事は、東京はダイナミックさと、平和・信頼・安心を兼ね備えた安定した都市であり、宿泊、セキュリティ、交通網の全ての面で万全であること。東京は、大会の遺産として残るスポーツ施設や国際交流プラザを活用し、「誰もがスポーツに親しみ、子どもたちに夢を与える社会を作る」というビジョンを持つことを伝えました。

 それを受けて、滝川クリステルさんが、東京は「おもてなし」の心でゲストを迎え、信頼と安全と楽しさを提供する都市であること。その具体例として、昨年、落とし物として届け出られた現金のうち3,000ドル以上が落とし主の元に返ってきたことを引き合いに出して説明しました。

 さらに太田選手が、アスリートたちは、都市の中心部にあるエキサイティングで快適な選手村や熱烈なファンの支援を期待できること、アニメなどの若者文化やハイテク技術を駆使した魅力的な大会プロモーションを行っていくことを説明しました。

 ボディの締めくくりは、安倍晋三首相が、グローバル・ビジョンについて語りました。安倍首相は、1964年の東京オリンピックの翌年、日本がボランティア組織を整えて、3,000人のインストラクターを80カ国以上に派遣し、100万人以上の人たちにスポーツの魅力を伝えたこと。そして今、「スポーツ・フォー・トゥモロー」というプランの下で、若者たちを世界に派遣し、学校をつくり、スポーツの振興を支援する計画を持っていること。2020年までに、100を超える国で、1,000万人以上の人たちの力になる。そんなグローバル・ビジョンを力説しました。

 安倍首相の締めの言葉は、とても力強いものでした。「東京を選ぶということ。それは、オリンピック運動の信奉者を選ぶということに他ならない。スポーツの力で、世界をより良い場所にせんとするために、IOCとともに働くことを強く請い願う、そんな国を選ぶことを意味する。皆さんと働く準備が、私たちにはできている」。こんな言葉で締めくくったのです。

 安倍首相のビジョンは、ありありと未来像を描くことで、聴き手の感情を刺激し、オリンピック運動普及への強い決意を伝えることで、信頼を届けることにつながったと言えるでしょう。