●個人的なストーリーを盛り込む
 アイデア・アントレプレナーは、常に自分の人生に重ね合せてアイデアを提示する。新生児学の権威であるベリー・ブラゼルトンは、子どもの頃の自分によく言及する。サマンサは、自分の生まれ育った家庭環境が、持続可能性への強い関心にどう結びついたかを語った。最初に話題にするのはビジネスの事例だが、個人的なストーリーを盛り込むことでアイデアを親しみやすいものにした。

●指標を取り入れる
 アイデアがもたらす影響を金銭的に正しく換算することは難しいが、人々はその価値を表す何らかの基準を求める。技能習得に関するマルコム・グラッドウェルの考えは、「1万時間の練習」(1つの分野で一流になるためには1万時間の練習を要する)という基準によって理解されている。持続可能性の慣行が社内に根付き始めると、サマンサはKPI(主要業績評価指標)――特にコスト削減率――を測定し報告した。併せて、ボランティアへの参加率などの非財務的な指標も測定し、取り組みの成果を示した。

●反発を予期しておく
 新しいアイデアを提案する時には、激しい反応を覚悟しなくてはならない。有益な議論に発展するものもあれば、無意味な中傷もある。サマンサは直接的な抵抗こそ経験しなかったものの、いくつか難題に直面した。アイデアが息吹きを始めるまで、ほぼ1年を費やして語り合い、前進と後退を繰り返しながら議論を続けた。そしてほかのアイデア・アントレプレナー同様に、彼女は気づいた――賛否はどうあれ、強い反応は人々がアイデアを真剣に受け止めている証しであることを。挑戦を誘発しなければ、成果も得られないのだ。

 影響がどう現れるか、そして人々の考え方がどう変わるかは、アイデアによってさまざまである。アイアン・マウンテンの場合は、2年もしないうちにCO2排出量を削減し、世界的に貴重な史跡の設計図をアーカイブ化する活動に協力し、コミュニティに対して6万5000時間のボランティア活動を捧げた。現在では、全米中の社員たちによってCSR活動が推進されている。

 アイデアが影響力を宿したことをサマンサが確信するのは、社員からこう言われる時だ――「自分たちがやっていることを、私はとても誇りに思っています」。直接このように認めてもらうことは、強力な指標である。


HBR.ORG原文:Seven Tips for Shifting a Mindset in Your Organization August 12, 2013

 

ジョン・ブットマン(John Butman)
コンテンツ開発を支援するアイデア・プラットフォーム共同創設者。最新刊にBreaking Out: How to Build Influence in a World of Competing Ideas (HBR Press, 2013)がある。