退屈な仕事や繰り返し作業でも、意義を見出すことで充実しやりがいのある仕事に変わる――この例は、我々も目にしてきた。筆者の1人(テレサ)が年に1度の血液検査を受けに行った時のことだ。血液採取を担当している女性は、満面に笑みを浮かべていた。「今日はとても嬉しそうね」と話しかけると、その女性はこう答えた。「今日は採血予定がたくさん入っているから、嬉しくて仕方がないの」。もちろん、彼女は血を好むサディストではない。次のような説明が続いた。「大多数の病気は、最初の単純な血液検査で発見できます。採血管がここにたくさん並んでいるということは、それだけ多くの人々を助ける可能性につながるんです」

 残念ながら、あまりに多くの人々が、仕事に意義を見出せていない。その結果、やる気を失い、本来の生産性を発揮していない。もしあなたがリーダーの立場にいるなら、2つのことを実行すれば変化をもたらすことができるだろう。まず、従業員自身にとって大切な何か、もしくは誰かの役に立つ仕事を彼らに与えること。そして、従業員自身の日々の行動が、それらの対象にどう貢献するかを理解させることである。

 ペンシルバニア大学ウォートン・スクール教授のアダム・グラントは、大学の奨学金調達を担当する(卒業生に電話をかけて寄付を募る)スタッフを対象に研究を行った(本誌2011年10月号「お客様の言葉が社員を顧客志向に変える」)。彼らの業務は多大なフラストレーションを伴う。寄付の獲得に成功する電話がごく限られているからだ。グラントは実験に際し、従業員を3つのグループに分けた。1つ目のグループは、奨学生の訪問を受け、奨学金によっていかに助けられたかを聞いた。2つ目のグループは、奨学生からの感謝の手紙を受け取った。3つ目のグループは奨学生と何の接触も持たなかった。

 結果は驚くべきものであった。1カ月後、学生から直接話を聞いたスタッフがかける電話の本数は2倍以上になり、集めた金額は3倍にアップした。対照的に、その他2つのグループには何の変化もなかった。つまりコールセンターの従業員は、助けた相手と直接的なつながりを持つことで、自分たちの努力に真の価値を感じられるようになったのだ。受益者との接触により、労働の成果が明らかになったのである。

 あなたがリーダーなら、従業員の仕事が他者にどう影響を与えているかを本人に見せる方法を万策を尽くして考えよう。彼らの仕事には、意義がある、ということを知らしめるのだ。


HBR.ORG原文:What Makes Work Worth Doing August 31, 2012

 

テレサ・アマビール(Teresa Amabile)
ハーバード・ビジネススクール(エドセル・ブライアント・フォード記念講座)教授。ベンチャー経営学を担当。同スクールの研究ディレクターでもある。

スティーブン・クレイマー(Steven Kramer)
心理学者、リサーチャー。テレサ・アマビールとの共著The Progress Principle(進捗の法則)がある。