写真を拡大
サローネで発表された東大生のサイドテーブルは、日本でも銀座の店舗などに展示された。コンペティションの受賞者は、藤本健太郎さん、鈴木志麻さん、高田彩実さんの3人。20代半ばで世界的なラグジュアリーブランドとコラボした。

発表にあたり、ボッテガ・ヴェネタはイタリアの工房でプロトタイプを制作しました。ほかの商品と同じように、本物の職人たちが仕上げたのです。3人の学生は実際に工房を訪れ、現場で職人と意見を交わしながら細かい調整を行い完成させました。サローネの展示会場では学生たちが自ら取材に応える場面もあったそうです。彼らのプロトタイプは展覧会後に製品化され、世界中の店舗にてオーダー販売も受け付けました。

若い才能が、デザイナーとして一歩を踏み出す手伝いをしたかった――。このコンペを行ったことについて、マイヤーはそんな風に語っています。彼はもともと、建築家の父を持ち、建築やインテリアに対する造詣が深い人物。それだけに、デザインの世界を目指す若者たちに自分を重ね合わせたのかもしれません。

写真を拡大
東大生がデザインしたサイドテーブルがこちら。現在は販売を終了しているが、高級ファニチャー製品として、店舗でのオーダー販売も受け付けていた。

ボッテガ・ヴェネタと東大のコンペで興味深いのは、学生がデザインを考え、ブランドの職人が制作を行い、しかも高級品として商品化を実現したところ。ここではボッテガ・ヴェネタというブランドが、ラグジュアリーな価値を付与するオープンなプラットフォームとして機能しているのです。

ラグジュアリーブランドのオープンプラットフォーム化ともいえるこうした試みは、ボッテガ・ヴェネタがもともと推進してきたことでもあります。

現代型のラグジュアリーは本質的かつ、パーソナルな心地よさに宿る

1966年にイタリア北東部のヴィチェンツァで生まれたボッテガ・ヴェネタは、「ヴェネトの工房」という名前が示す通り、熟練した職人技術に裏打ちされた革製品を主軸に、ラグジュアリーブランドとしての地位を築いてきました。

それが大きな方向転換を迎えるのは2001年。グッチ・グループの傘下となり、クリエイティブ・ディレクターにトーマス・マイヤーが就任してからのこと。

ブランドの拡大という使命を担って就任したマイヤーは、レディースとメンズのプレタポルテ・コレクションへの初進出から始まり、アクセサリー、アイウェアといったオリジナルラインの充実で高い評価を得ました。