聴衆は誰か、何を求めているか

 場の要請と主催者の期待を確認した後は、聴衆を知る番です。聴衆にインパクトを与えるには、彼ら彼女らの関心に刺さるものであり、なおかつ、求められている期待を上回るものでなければなりません。

 そのようなスピーチを行うには、まず何よりも、聴衆の置かれた立場と心情を知る必要があります。日頃のビジネスにおいて、商品やサービスを企画する場合、顧客の潜在的なニーズをまず探りますが、それと同じことです。

 聴衆について理解し確認すべき点は、以下の4点です。

①聴衆は誰か? どんな特徴があるか? 特徴が異なる人たちが混在している場合、その構成比はどうか? そのなかでも、どの層に焦点を当てるべきか?
②聴衆は、何について聴きたいと思っているか?
③そのことについて、一般的にはどのようなことが言われているか?
④聴衆の期待を上回るには、何が必要か?

 このうち、少なくとも最初の2つの質問には、きちんと答えを出す必要があります。 さらに共感や感動を呼ぶといった大きなインパクトを残すためには、聴衆が関心のあることについて、聴衆がこれまでに考えたこともなかったような視点やアイデアを提供することが求められます。そこまで踏み込んで考えれば、素晴らしいスピーチになること請け合いです。

 主催者の意図や期待を知ろうと思えば、スピーチの依頼者に尋ねれば済むのですが、聴衆の関心を探るために、聴衆に尋ねるわけにはなかなかいきません。身近にスピーチを聴きに来てくれる人や、同じような関心を持つ人がいればよいのですが、そう都合よくいかないのが現実です。

 つまり、聴衆の期待を上回りたいと思うのならば、聴衆の気持ちや置かれた立場を考え尽くさなければなりません。どんな気持ちで来場するのか、どんなことを気にかけているのか、夜眠れないほど心配していることは何か、あるいは、何によって元気が出るのか、勇気づけられるのか。時間の許す限り、広く深く想像を巡らせる必要があります。

 その際は、連想マップを使って聴衆になりきり、想像することが効果的です。