両企業ともネット・プロモーター・システムを用いて定期的な顧客調査を実施している。彼らはその評点と回答を組織全体に共有している。不満を持っている顧客に対してはフォローを実施し、フィードバックに対しては行動するように努力する。言い換えれば、彼らの顧客へのこだわりに対する責任を重く受け止めているのだ。

 こうした企業の従業員が、想像力を発揮して顧客に「スゴイ!」といわせる方法を思いついたとしても驚きではないだろう。それは、黄金律への個人的なこだわりや思いやりのみによるものではない――それが企業にとっても重要であることを理解しているのだ。そして、顧客の推奨により、その行為が外部に知れ渡っていくことも知っている。

 フォーシーズンズホテルのマーケティング責任者を引退したバーバラ・タルボットは、聡明な思いやりがもたらした行動の事例について話をしてくれた。ひどい風邪をひいているゲストにポットに入ったお茶を届ける、咳をしている子どもの母親に加湿器を届ける、等々。

 彼女が言わんとしていることは、良い従業員を採用すれば、彼らは思いやりを発揮する機会を自ら見つけてくるということだ。受付に並ぶ列が長ければ、合理的に迅速に働くことで列の動きを進め、人が少なくすいている時には、ちょっとした会話をするべきだということが分かっているのだ。

 このことは、話題となっている従業員の幸福度を考える上でヒントを与えてくれる。ほとんどの人は、他人が真に価値があると認めてくれることを行う機会を得た時に最大の喜びを感じる ――生来の衝動に従って行動出来る時だ。より多くの企業が、人々のこうした性質を正しいチーム構成、リーダー、ツール、そしてトレーニングによって確実にサポートするようにし始めている。そして、従業員が顧客の生活をどのようにして豊かに出来たか――もしくはどうして出来なかったのか、どうすればそれを解決できるのか――に関するタイムリーなのフィードバックを得られるようなシステムを整備している。

 従業員にとっては、このようなサポートの提供は、顧客の生活に真の違いをもたらす機会が与えられたことを意味する。雇用する側の企業もこのことから便益を得られるとは、何と都合良いことだろうか。


HBR.org原文:The Value in Wowing Your Customers March 13, 2012

 

ベイン・アンド・カンパニー(Bain & Company)
1973年に創設。世界32ヶ国に50拠点のネットワーク、約5700名を擁する世界有数の戦略コンサルティングファーム。クライアントとの共同プロジェクトを通じた結果主義へのこだわりをコンサルティングの信条としており、結果主義の実現のために、高度なプロフェッショナリズムを追求するのみならず、きわめて緊密なグローバル・チームワーク・カルチャーを特徴としている。