このことは会計士達を満足させるだろう。同時に、企業、管理職と従業員にとっては、鼓舞されるような側面がある。このシステムは、企業が恒常的に顧客を正しく扱えているかどうかを測定する実用的な方法を提供する。それは、黄金の計測器とも言えるかもしれない。

 チャールズ・シュワブのCEOウォルト・ベッティンガーは、ネット・プロモーター・システムを他のCEOに推奨するときに正にそのように説明している。

「最初に、黄金律の重要さを信じているかを聞く――自分自身がしてもらいたいことを相手に対しても行なうという昔からのモラルと倫理原則である。彼らは必ず共感するようにうなずき、「はい、もちろんです」と答える。すると私は、彼自身や彼の企業がどれだけ恒常的に黄金律を守れているかを測定するために何をしているかを尋ねる。すると、彼らの典型的な返答は「そうですね、測定できればそれは素晴らしいことですが、実際はそれを実施する方法はありません」である。私は間違いなく方法があることを伝える。実に、シュワブでは、5年以上も黄金律の遵守率を測定するためにネット・プロモーター・システムを使っており、それは非常に素晴らしい効果を発揮している。私が毎朝コンピューターを立ち上げた後に最初に開く画面はNPSである。それにより、我々の企業理念(コアバリュー)に沿ったビジネスがどの程度実現できているかを部門ごとに把握することが可能となる。NPSを最優先事項と位置づけることで、より優れた企業に成長してきた――コアバリューに沿うという点においてのみならず、利益ある成長においてもである。」

 こう考えるのはベッティンガーだけではない。チックフィレ(米国のファーストフードチェーン)のCEOであるダン・キャシーも、勝利の戦略を同じような言葉で説明している。「我々は多くの人が心から欲してやまない体験をしていただくことに大いに努力をしている――それは、尊敬と敬意を持って対応されることである。実際にはそういう体験が出来る機会は限られているようだ」

 これらのCEOは新たなコンセプトを発見した訳ではない。形式はいかなるものであれ、この黄金律は世界の偉大な宗教や倫理学においても柱となるような考え方である。ビジネス倫理を研究しているポール・ローレンスとニティン・ノーリアは、黄金律を他人との絆を持ちたいという人間の根源的欲求であるとしている。

 経営陣が直面する課題は、財務会計をもとにした議論では短期的利益に注力させられるような状況下において、いかにしてこの黄金律を実践につなげるかである。「モラルは、人類の生活において中核を成し広く普及すべきものであるため、科学的にそれを理解する方法が大いに必要だ。」

 CEOであるベッティンガーやキャシーなどが発見したように、ネット・プロモーター・システムはそれを実行するためのひとつのフレームワークとなる。正しく導入し運営されれば、財務上の成長を促す。MBAにおける議論やアニュアルレポートの美文は単に表面的なくだらないものではないということも示している。それを測定する方法を確立できれば、それは本当に有益な結果をもたらすことがわかるだろう。


HBR.org原文:Profiting from the Golden Rule October 25, 2011

 

ベイン・アンド・カンパニー(Bain & Company)
1973年に創設。世界32ヶ国に50拠点のネットワーク、約5700名を擁する世界有数の戦略コンサルティングファーム。クライアントとの共同プロジェクトを通じた結果主義へのこだわりをコンサルティングの信条としており、結果主義の実現のために、高度なプロフェッショナリズムを追求するのみならず、きわめて緊密なグローバル・チームワーク・カルチャーを特徴としている。