一方、パフォーマンスを行っている時には、成功は嫌になるほど短命だ。1つの目標を達成するや、あるいは何かを成し遂げて拍手喝采を得るや、次の瞬間にはもう意味を持たなくなる。あなたは永遠に続く問いに追われる――「次は何で成果を上げる?」

 経験の中にいる時、大切なのは最終的な結果ではなく、目の前の瞬間だ。成し遂げたあとの達成感を求めているのではなく、その瞬間の感覚を味わっている。他者の移り気な尺度に惑わされることなく、自分の中にある揺るぎない尺度に突き動かされている。

 ではどうすれば、パフォーマンスをやめ、経験に身をゆだねることができるだろう? 私が用いている方法を紹介しよう。1日に何度か、「〈いま自分が経験していること〉で、こんな気分になるのか」と確認し、口にするのだ。

「ほめられると、こんな気分になるのか」。「愛するとは、こんな感覚だ」。「提案書の作成に行き詰まると、こんな気分になるのか」。「これが、CEOにプレゼンをする時の気分だ」。「恥をかくというのは、こんな感じなのか」。「これが、感謝された時の気分だ」

 こうして言葉に出し、その時の感情を味わうことで、私は即座にその瞬間の経験に没頭できる。パフォーマンスの意義は失われ、その結果を意識することもなくなる。不愉快な気分、という尺度はない。経験していることのすべてが、人生を一層豊かにしてくれるのだ。

 結婚式の当日、私はスーのアドバイスに従った。13年も前のことだが、振り返れば最も鮮明に、感慨深く思い出されるのは、リハーサルではやらなかったあれこれだ。手違いから起きた出来事が、結婚式を盛り上げてくれたのだ。ラビが不在で予定通りに運ばなかったリハーサルでさえ、別の意味で完璧だった。おかげで牧師と、予想外の充実した交流を持てたからだ。このことは、エリナーとその家族にとっては特に意味があった。

 この結婚式が、パフォーマンスとしてどれほどのものだったかはわからない。しかし1つの経験としては、完璧だった。経験というものは、常にそうなのだ。


HBR.ORG原文:Stop Focusing on Your Performance January 24, 2013

 

ピーター・ブレグマン(Peter Bregman)
CEOおよびリーダーにアドバイスを行う戦略コンサルタント。最新刊は『最高の人生と仕事をつかむ18分の法則』(日本経済新聞出版社)。