株主資本利益率(純利益を株主資本で割って求める)は、次の3つの指標を掛け合わせても算出できる。

1. 売上高純利益率(純利益÷売上高)
2. 総資産回転率(売上高÷総資産)
3. 財務レバレッジ(総資産÷株主資本)

 このシンプルな公式から、その企業のビジネスモデルについて深い洞察が得られ、強みやチャンスがある部分を素早く見出すことができる。

 デュポンシステムを念頭に置き、ROIIを以下のように分解することで、よりよい評価方法を見出せる。

1. イノベーション・マグニチュード(財務的なリターン÷成功したアイデア)
2. イノベーション成功率(成功したアイデア÷試みられた全アイデア)
3. 投資効率(試みられた全アイデア÷設備・事業投資)

 こうして分解することにより、実行しうる複数のイノベーション戦略が見えてくる。比較的安全に取り組んだ企業は、高い成功率、低いマグニチュード、高い投資効率を実現できるだろう。成功率が低い企業は、投資効率かマグニチュードが高ければ、同じリターンを上げられるかもしれない。

 このような分解は、企業のイノベーション能力を評価したいリーダーと投資アナリストの双方に価値があるだろう。また、この枠組みにより、それぞれの事業状況により適した(あるいは適さない)戦略の典型が明らかになるかもしれない。

 さしあたっての問題は、これらの数字を手元に持っている企業がほとんどないこと、そして、共通の定義がなく、公表されている統計もないため比較が難しいことだ。たとえば「アイデアをどう定義するか」あるいは「成功とはどういう意味か」などの単純な問いに対して、一貫した答えが必要になる。

 イノベーションが企業の長期的な成功に(ときには生存に)、どれだけ不可欠となっているか。それを考えると、上場企業に対し、イノベーションの開発状況や、イノベーションの成果を左右する要因を定期的に報告するよう、義務づけるべき時が来ているのではないだろうか。

 それまでは少なくとも、次に雑誌の表紙を飾りそうな企業には気をつけておこう。ビジネスウィーク誌が掲載した「最も革新的な企業」の2008年のランキングの上位20社(米株式市場への上場企業のみ*)のうち、実に半数が、2008年3月~2013年3月までのあいだに株式市場全体の指数を下回るパフォーマンスに終わった。アマゾンやアップルのパフォーマンスはよかったことを考慮すると、上位20社への投資はS&P500指数への投資よりよい成績をあげたと考えられる。しかし、ブラックベリー(リサーチ・イン・モーション)、ゼネラルモーターズ、ノキア、ソニー、トヨタは、上記の期間それぞれに苦労していたことは間違いない。

※上位23位までには、インドのタタ・グループとリライアンス・インダストリーズ、ドイツのBMWが含まれている。


HBR.ORG原文:How To Really Measure a Company's Innovation Prowess March 21, 2013

 

スコット・アンソニー(Scott Anthony)
イノサイト マネージング・ディレクター
ダートマス大学の経営学博士・ハーバード・ビジネススクールの経営学修士。主な著書に『明日は誰のものか』(クリステンセンらとの共著)、『イノベーションの解 実践編』(共著)などがある。