一方、重点領域はどうか。販売であれば、「適切な見込み客との会話を増やすこと」かもしれない。オペレーションであれば、「コスト削減を進めたい領域を明らかにすること」かもしれない。

 当然ながら、目標と重点領域は相反するものではない。両方を設定することも可能だ。両方が同時に必要であるという主張も、もっともだろう。目標は行き先を定め、重点領域はその方法を示すものであると。

 しかし、目標を設定せずに、重点領域のみに焦点を当てるメリットもある。

 重点領域は、あなたの内発的な動機を引き出す。刺激やインセンティブを与えてだましたり、不要なリスクを取らせたりすることはない。可能性や機会を少しも閉ざすことはなく、コラボレーションを促進する一方で、無意味な競争を抑制する。あなたや組織は最も重視すべきことを推進しながら、これらのメリットを享受できるのだ。

 言い換えれば重点領域は、目標設定と同じ効果を、副作用なしで提供できるということだ。

 その方法はシンプルだ。あなたが時間を費やしたいと思えることを特定し、実行する。あるいは上司と協議して、あなたが最も時間を費やすべきことを明らかにする。それ以外のことは、流れに任せる。私が試したところでは、5項目を超えると焦点がぼやけて散漫になってしまう。

 ここでのポイントは、取り組みの「結果」について思いを馳せるという誘惑に打ち勝つことだ。結果にこだわらず、やがてうれしい驚きが訪れるのを待つのだ。これはシンプルだが、簡単なことではない。私自身、目標に焦点を当てるのをやめようと試みるまで、どれほど自分がそれにとらわれていたかまったく気づかなかった。目標がなければ、何かを成し遂げられると信じることすら難しかった。

 しかし、成し遂げることはできる。私の経験では、目標を設定した場合と少なくとも同じくらいの成果をあげられる。しかも、そのプロセスを存分に楽しみ、不要なストレスや誘惑を退けることもできるだろう。

 言い換えれば、目標や結果ではなく目の前のタスクに集中したとしても、うちの子どもたちは時間内に歯磨きを終えられるということだ。しかも、フロスを使って丁寧に磨き、洗面所もびしょびしょにせずに。

(※訳注 :この研究が実際に存在するか否かについては、いまだに意見が分かれている。)


HBR.ORG原文:Consider Not Setting Goals in 2013 December 14, 2012

 

ピーター・ブレグマン(Peter Bregman)
CEOおよびリーダーにアドバイスを行う戦略コンサルタント。最新刊は『最高の人生と仕事をつかむ18分の法則』(日本経済新聞出版社)。