Do(実行)
 前段階で確認した内容をもとに、部下の活動に関与すべきか否か、あるいはどのように関与すべきかを決める。部下が新人であれば、マネジャーみずから範を示し、見て学んでもらうのもよいかもしれない。次の段階では、部下の行動を定期的に観察し、後からフィードバックを与える。以降は、現場にマネジャーがいる必要はなくなる。そうなれば、マネジャーが関与するのは「P」と「R」のみとなる。

Review(見直し)
 優れたマネジャーは、活動後の見直しを自身とチームに習慣づけている。活動の終了時に行う個人面談のテーマにしてもよいし、定期面談で報告させる、あるいは進捗を報告し合うスタッフ会議での慣例としてもよい。見直しの際には、「今回は○○○を学びました。次回は△△△という方法でいくつもりです」という形で示すようにする。

行動の結果の如何にかかわりなく、つまり失敗でも成功でも、見直しを忘れてはならない。私たちは、えてして失敗のみを振り返りがちである。成果を見直し、そこから成功のカギや今後の教訓を学ぶことに、あまり時間を費やしていない。

 上司と部下のやり取りの多くは、「P」と「R」の中で交わされることになる。マネジャーが活動に直接手を下すのは、部下に経験が足りない場合、および重要度やリスクが高い場面に限るのが望ましい。

 P-D-Rを意識的して定期的に利用すれば、マネジメント方法を改善する強力なツールとなる。直接介入せず部下の仕事に関与できるのだ。部下とのやり取りがより充実したものとなり、結果が向上し、学習機会が生まれ、部下に任せることもうまくなる。

 上司として常にこのように行動すると、マネジメント上のいくつかの重要なタスクが、以前よりも容易かつ秩序立ったものになることに気づくはずだ。部下のスキルと経験値、およびその場の状況に合わせて、仕事をより合理的に任せることが可能になる。部下へのコーチングも効果的に行える。上司としてのタスクの多くを、部下が学習する機会にできる。そして、関与すべき時とそうでない時を判断しやすくなるため、時間をより有効に活用できるようになる。

 経験豊富な部下――特に、ルーチン業務に従事する者――に対しては、「P」と「D」のいずれにも関わらなくてよい。しかし、上司として「R」には何らかの形で関与し続ける必要がある。業務成果を毎回のように見直す必要はないとしても、継続的なパフォーマンス評価が完全に不要となることはない。

 つまりP-D-Rとは、優れた上司がとる基本的な行動サイクルであり、それは永遠に繰り返されるものなのだ。P-D-Rを用いて、すべての行動に意識を集中し気づきを得ることで、平凡な日常業務をマネジメント行為に変えることができる。P-D-Rは日々の仕事を成長機会へと変えるのにも役立つ。そして、不要な介入を避けながら部下を導き、成果を出し、学習を促す方法となる。

 P-D-Rがマネジメント上のすべての課題を解決するわけではない。しかし、これは我々の知る限り、マネジメントの極意に限りなく近い、強力なアプローチである。


HBR.ORG原文:How to Get Involved Without Micromanaging People March 25, 2011

 

リンダ・A・ヒル(Linda A. Hill)
ハーバード・ビジネススクールのウォーレス・ブレット・ドナム記念講座教授。経営管理論を担当。主な著書にBeing the Boss: The 3 Imperatives for Becoming a Great Leader(邦訳『ハーバード流ボス養成講座 優れたリーダーの3要素』日本経済新聞出版社)がある。

ケント・ラインバック(Kent Lineback)
著述家。リンダ・ヒルとの共著Being the Boss: The 3 Imperatives for Becoming a Great Leader(邦訳『ハーバード流ボス養成講座 優れたリーダーの3要素』日本経済新聞出版社)がある。