●報酬
 誰もが皆、仕事に対する公正で十分な金銭的報酬を必要としている。経済的な不安を解消でき、自分自身とその仕事が組織から尊重されていると感じられるからだ。そして正当な評価もまた、もう1つの報酬のあり方として不可欠だ。それは社員とその仕事を評価していることを示す、組織からのメッセージである。これらの外発的動機は本来ならば、内発的動機と創造性を損ねることはない。

 しかし、人は物質的報酬が(見え透いたアメとして)目の前にぶら下げられると、管理されていると感じるようになる。これが内発的動機を阻害する要因となる。我々の研究によれば、創造的で十分な努力に対して報酬と評価が与えられると理解されている職場では、創造性が豊かになる。その際、どの行動に対してどの報酬が生じるかを細かく言及することは禁物だ。さらに、報酬によって社員の能力と仕事の価値が本人に伝わるようすることが重要だ。また、社員が熱望していた仕事を与えるという形の報酬もある。両方の役目を果たす報酬であれば理想的だろう。

 最も大きな効果をもたらす報酬は、必ずしも金銭的なものだけではない。我々が数年前に実施した調査で、次のように回答した人がいる。「自分の仕事について耳を傾けてくれるマネジャーの下で働くことは、報酬の一部です。上司との距離が近いと、内発的な動機が高まります。だからマネジャーは、非公式にでも話ができる人であるべきだと思います」

●プレッシャー
 創造性に対して、よいプレッシャーと悪いプレッシャーがある。悪いのは、最も重要な創造作業とは関係のないさまざまな要求から生じる、時間的プレッシャーだ。また、同僚との競争によるプレッシャーも致命的になりうる。しかし、その人に最適でやりがいのある仕事――誰も解決できなかった大きな問題に取り組むこと――は、内発的動機と創造性を大いに高める。「最適でやりがいのある」とは、困難だがその人の能力ならば解決できる、という意味だ。差し迫るニーズに応える何かを創造している、と本人が感じることができれば、まさに好ましい状態だ。しかし、その任務に寄与しないプレッシャーは、問題解決の邪魔をするだけである。

 つまり、モチベーションを引き出す各要因のレベル、形式、意味合いのバランスが重要ということだ。難しい仕事を決まった方法でやるよう指示され、失敗が許されず、成功しても正当な評価が期待できず、過度の不当な時間的プレッシャーを被れば、創造性を発揮する意欲が湧くはずがない。反対に、最初の失敗が建設的に検証され、成功が評価されるポジティブな環境であれば、同じ仕事でも創造性が発揮されイノベーションへとつながるのだ。

 あなたの組織のマネジメントは、モチベーションの要因をバランスよく適用しているだろうか。維持することが最も難しいのは、どの要因だろうか。


HBR.ORG原文:What Doesn’t Motivate Creativity Can Kill It April 25, 2012

 

テレサ・アマビール(Teresa Amabile)
ハーバード・ビジネススクール(エドセル・ブライアント・フォード記念講座)教授。ベンチャー経営学を担当。同スクールの研究ディレクターでもある。

スティーブン・クレイマー(Steven Kramer)
心理学者、リサーチャー。テレサ・アマビールとの共著The Progress Principle(進捗の法則)がある。