簡単に言うと、すべての活動を「実行」という1つのステップとして考えるのではなく、「実行に向けた準備、実行、結果の見直し」という3つのステップとして捉えるものだ。この手法は次のように機能する。

Prep(準備):何かを実行する前に、必ずそのための準備をする。次のような質問を自分に問いかける――これから何をしようとしているのか? その理由、目標、目的は? それをどのように行うのか? 誰が関与するのか? 誰が影響を受けるのか?

Do(実行):準備したことを実行に移す。

Review(見直し):完了後、何を実際に行ったのか、何が起こったのかを考える。学んだことは何か? 次回はどのような点を変えるべきか?(正しい教訓がすぐに得られると、決めつけてはならない。それらは往々にして、見つかりにくいものだ。)

「P-D-R」は、単純で当たり前のように見えるかもしれない。しかし現実には、目の前の出来事にただ反応するだけ、ということが多々あるのではないだろうか? 上司としての業務に集中したいがために、時間管理を理由に、浮上した問題を一番手っ取り早い方法で片づけてしまう、ということも頻繁にあるのではないだろうか?

 優れたマネジャーは「P-D-R」の手法を用いて(それを何と呼ぶかは人によって異なるが)、すべての活動を、マネジメント上の目的――たとえば、目標への前進、人材育成、作業標準の再確認、チームワークの強化、望ましい行動様式のモデル化など――を達成するための手段に変える。

 優れたマネジャーは、どんな活動にも「進歩の種」があり、「P-D-R」によってその種を見つけ育てることができる、と考える。危機的状況を利用して、重要な仕事相手との関係の再構築を図る。顧客サービスに関する問題を利用して、上司を巻き込んでより大きな問題に取り組み始める。無意味な会議の休憩時間を利用して、計画の変更を同僚に伝える。生産上の問題を利用して、重要なスタッフのスキルを向上させる。

 Prep(準備)なしに問題に対処した場合(1~2分、もしくはたった数秒の準備でも構わないのだが)、あなたはその行動をありふれたものとして捉え、そこに秘められた可能性に気づくことはない。計画通りに物事が進まなかった場合、そこから何を学んだかを見直し明らかにする時間を設けなければ、あなたはマネジャーとしての役割を果たすことに苦労し続けるであろう。

「P-D-R」を体系的な習慣として取り入れ、常に実践してほしい。このシンプルだが効果的な手法を用いることで、あなたが日々行う活動の多くを、マネジメント・ツールへと変えることができる。それにより、個々の人材とチームの両方を前進させることができるのだ。


HBR.ORG原文:Better Time Management Is Not the Answer March 15, 2011

 

リンダ・A・ヒル(Linda A. Hill)
ハーバード・ビジネススクールのウォーレス・ブレット・ドナム記念講座教授。経営管理論を担当。主な著書にBeing the Boss: The 3 Imperatives for Becoming a Great Leader(邦訳『ハーバード流ボス養成講座 優れたリーダーの3要素』日本経済新聞出版社)がある。

ケント・ラインバック(Kent Lineback)
著述家。リンダ・ヒルとの共著Being the Boss: The 3 Imperatives for Becoming a Great Leader(邦訳『ハーバード流ボス養成講座 優れたリーダーの3要素』日本経済新聞出版社)がある。