マーケティングのゴールと日本で必要なステップ

川名:ANAの理事長はどれぐらいの任期で、なぜベッキーさんにバトンが回ってきたのだと思われますか?

セイガー:私はANAの役員を8年ほど、そのあと副会長を2年務め、そして2008年から2年間理事長になりました。ジム・ステンゲルは私の前の理事長でしたね。役員を何年も務めて、協会の問題にもかかわってきたということもあるのかと思います。

川名:ちょうどテクノロジーの変化が起きている時期に理事長でいらしたのですね。

セイガー:私たちがマーケターを手助けするために行っていた仕事は、組織としてどういうスキルが必要なのか、テクノロジー企業がマーケターをトレーニングするのにどうしたらいいかということです。ANAの役割として、マーケティング業界全体ができるだけ早くさまざまなことを学び、起きていることに対応できるようにしていけることを目指していました。

 教育プログラムもたくさんあり、学習グループのような委員会を作っていました。シニアレベルのマーケターが付いて、モバイルメディアやマルチカルチャー、スポンサーシップといった分科会に分かれ、全米から集まってきた仲間と共に学ぶ場です。そしてケーススタディをカンファレンスのときに共有していました。こうした活動を通してANAは言葉を発信し、業界全体を活性化していったのです。広告会社との関係をどうするかといった委員会もありました。

川名:日本では、まだなかなかきっちりしたマーケターの教育プログラムがありません。

セイガー:ANAではマーケターに必要なスキルの指標も作成しています。こうしたものは日本でも作成されるといいですね。

川名:お話を聞いていると、ベッキーさんがひとつの企業だけでなく、広くマーケティングを良くしようとしていることを強く感じます。産業自体を良くするのだという高い理念をお持ちですね。

セイガー:ありがとうございます。私はマーケティングを愛しています。長年この仕事に携わってきた私の経験をマーケティングの進化に役立てたいと思っています。

 私たちの仕事は、実は以前と何も変わってはいないと思います。ただ、今は持っているツールが違うのですね。本当に素晴らしいツールがたくさんありますが、デジタルマーケティングがゴールではありません。ツールではあるけれども、目標ではないのです。ビジネスの成果を生み出すソーシャルメディアを使っていくことも大切ですね。