全米広告主協会(ANA)の教育プログラム

川名:CMO2.0の時代ではマーケターの分析力が問われますが、アメリカでは国や業界をあげて何か教育プログラムは行っているのでしょうか?

セイガー:なかなか難しい面があります。ANAでは、しっかりしたマーケティングの教育プログラムを検討しています。マーケティングの組織や人材の採用をはじめ、セミナーやカンファレンスでも、CMOが今どんな問題に対応しているかを伝えています。

 実は今年初めてANAは「マーケティング・アナリティクス・リーダーシップ・アワード」を立ち上げ、現代のマーケティングにより注目が集まるようにしています。私も選出に携わっていますが、素晴らしい内容です。3~4年前にはまったくなかったような事例が見られます。一緒に仕事をしているアメリカの企業にも、これらのケーススタディをぜひ見るように伝えたいと思っていますが、数年前と比べて分析がずっと進んでいますね。まだまだ長い道のりですが、今は潜在的な可能性を探っている時期でしょう。

川名:ANAの総会は何人ぐらいが参加するのですか。

セイガー:会合は年間何度も行っていて、1つのトピックに絞った小規模なものもあります。年次総会は3日間の日程で、CMOが自分の企業で行っていることを話します。今年は2200人ぐらいの参加者です。

 スピーカーはほとんどがCMOで、ウォールマートなど大企業のCMOぞろいです。また、小さな企業で革新的なことを行い、わりとよく知られている事例を紹介して他の人が学べるようにしています。そのほか若いマーケター、広告会社社員、ヤフーやグーグルといったデジタルパートナー、そして広告テクノロジー会社の人たちが来ています。

川名:CMO2.0になると、CMOになる人のキャリアパスが変わる気がしました。CMO1.0のときはマーケティングに熟してマーケティングのキャリアを歩んできた人がCMOになりましたが、CMO2.0になると情報システムの戦略企画ができる人、極端に言えばCIO(Chief Information Officer)を経験した人がCMOになるという可能性が出てくることはないでしょうか?

セイガー:いいポイントですね。最近行われているのが役割の統合です。たとえばE*TRADE社では最近新しいCMOを迎えました。デジタルマーケティングの素晴らしいキャリアを持つ女性で、ブランド戦略は別の人と組み合わせることで補完しようと考えています。芸術派のCMOにアナリストを配するということもありますが、デジタルや分析の経験があるCMOに対して、ブランディングや広告に強い人を組み合わせていくということもあります。

 可能性はどんな人にもあり、リーダーやマネジャーとしての素質が強い人がCMOになるのではないかと思っています。上のポジションになればなるほど自分が知らない専門分野を持っている人を採用し、自分のチームにいろいろなポートフォリオがそろうようにするということが大事です。