日本企業が持続的競争優位を築くために
どのような経営を目指すべきか

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日本企業が目指すべき「X経営」とは

 では、これら4つのタイプのうち、日本企業は次世代成長に向けて、どのタイプを標榜すべきか?

 オペレーション力だけで戦うタイプJでは、グローバルに広がる戦線で戦い続けることは至難の業である。かといって、タイプWやタイプZのように、強烈なリーダーシップを発揮するトップの到来を待ち望むのは、多くの日本企業では残念ながら非現実的だ。

 むしろ、オペレーション力を基軸としつつ、その上で、2つの成長エンジンを組織的に回して学習優位を築き続けるタイプXこそ、日本企業の体質にあったベストモデルと考えられる。しかもタイプXは組織力に深く根ざしている点においても、タイプWやタイプZ企業が抱える「偉大なトップ交代に伴うリスク」にさらされることもない。「持続可能性」という観点からは、もっともしたたかで、しぶといモデルといえよう。

 このX経営の特徴は、前述したように、事業モデル構築力と市場開拓力を掛け合わせることにある。では、どのような仕組みや仕掛けを通じて、この2つのツインエンジンを基軸とした動的学習を組織的に継続しているのだろうか?

 これら企業をつぶさに研究してみると、3つの共通の成功パターンがあることに気付く。それぞれが、Xで始まるキーワードで示せることから、それを「X³(Xキューブ;Xの三乗)」と記号化することができる。

①X(エクス)テンション:拡業
 自社の強みを梃子としつつ、軸足を「ずらす」ことによって、事業領域を持続的に拡大し続ける。日東電工の「三新活動」が代表例。

②X(クロス)カプリング:異結合
 異業種のプレーヤーが知恵を出し合うことで、イノベーションを実現する。ファーストリテイリングと東レの「バーチャルカンパニー」が代表例。

③X(トランス)ナショナル:越境
「和僑」として海外市場に深く根を下ろし、そこでの学びを次の成長の糧として海洋伝いに歩く。ユニチャームのアジアMOP(ミドル・オブ・ピラミッド)戦略が代表例。

 次稿から3回にわけて、これら3つのXを1つずつ吟味していくことにしよう。そこには、学習優位を梃子に動的な競争優位を築くための実践的なヒントが見えてくるはずだ。そして、これら3つのXの実践をすることで、日本企業の多くが、欧米流の競争優位論の呪縛から解かれ、自社の本質的な強みを基軸とした次世代成長への道を力強く踏み出していくことだろう。
 

今月のDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー