日本企業が持続的競争優位を築くために
どのような経営を目指すべきか

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「失われた20年」を勝ち抜いた企業:4つのタイプ

 この研究では、1990年から2010年の20年間において、売上高、利益、企業価値の3つの指標の伸びが高い順に、日本企業のトップ100社を抽出した。ただし、ベンチャーなど小規模スタートの企業は成長率が高いので、1990年時点で売上1000億円未満の企業は対象外とした。また、1990年以降に上場した企業も対象外となっている。

 その上で、これら100社の経営モデルを、大きく4つのタイプに分類してみた。

 第1のグループは、「オペレーション力」を武器に成長し続けている企業群だ。アイシン精機(12位)、ホンダ(25位)、ダイハツ(42位)、ローム(62位)など、現場での「擦り合わせ力」が勝敗のカギを握る自動車業界や部品業界に多い。伝統的な日本の強みに軸足をおいていることから、「タイプJ」と名付けている。トップ100社中の多くは、このタイプに属する。

 第2のグループは、この現場の「オペレーション力」に加えて、トップが欧米型の「経営変革力」を発揮して、非連続な成長を実現している企業群だ。たとえば、100社リストのトップを飾る日本電産などが典型だ。同社は、40社近い企業を買収したうえで、そこのオペレーション力を徹底的に磨き上げることにより、モーターという比較的コモディティ化した業界で、驚異的な成長を遂げている。また、カルロス・ゴーンCEOがメリハリの効いた意思決定を下し、現場のオペレーション力を蘇らせた日産(69位)も、このグループの代表株だ。日本型と欧米型のよいところをダブルで兼ね備えていることから「タイプW」と名付けている。

 第3のグループは、そこまで経営変革力は強くないが、オペレーション力を梃子に、それを大きくスケールさせる動的学習力を実装した企業群である。キーエンス(4位)、ユニチャーム(6位)、日東電工(13位)などが代表例だ。これらの企業は、「事業モデル構築力」と「市場開拓力」2つを成長のツインエンジンとして駆動し続けている。2つのエンジンを「掛け合わせる(X)」という特徴に着目して、「タイプX」と名付けている。

 そして第4のグループは、これら4つ、すなわち、「オペレーション力」、「経営変革力」、「事業モデル構築力」、「市場開拓力」のすべてを兼ね備えた企業群である。100社中、イオン(27位)、ダイキン(47位)、コマツ(53位)の3社のみが、このグループに属する。また、1994年に上場したため「番外」扱いではあるものの、それ以降の成長パワーを見るとダントツ1位であるファーストリテイリングも、このグループの代表旗手といえよう。究極の経営モデルという意味で、「タイプZ」と名付けている。

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