資源ナショナリズムは国際関係に大きな影響を与えていく。資源国の政治・社会体制はさまざまであり、旧西側諸国を中心とした国際ルールを必ずしも尊重しない。70年代のOPECは大きな影響力で世界経済を揺さぶったが、それでもOPEC諸国は、資源産出地ではあっても大消費市場ではなかったため、先進国市場に破壊的なダメージを与えるまでの減産・価格上昇は好ましくないと考えていた。しかし、これからの資源国は、国内に大消費市場も抱えているため、貿易による相互依存性への配慮が足りず、むしろ資源を武器として使っていく可能性がある。つまり、過去の資源国との交渉とは一線を画するものになるのだ。

 このため資源消費国では、資源調達の困難を経験するにつれ、非在来型の化石燃料(シェールガスなど)に加え、再生可能エネルギーやリサイクルなど、資源の自給率を上げる努力をさらに加速していくことになる。既存のエネルギー資源の調達先を多様化させる努力に加え、バイオマスや風力、太陽光、その他の方式による発電などの取り組みは、すでに試行が始まっている。

 エネルギー資源問題の解決策として原子力発電が寄与するという期待もあったが、2011年3月11日の福島第一原発の事故により様相は一変した。事故の当事国である日本では、時の菅直人首相が「脱原発依存」を宣言し、2012年5月にはすべての原発が稼働を停止した。実際問題としては、すべての原発をすぐに廃炉にするほどの技術者もいないなど、完全な脱原発を指向するとしても相応の年数がかかる。省エネ技術の向上や代替エネルギー技術の開発にも期待はかかるものの、それにもまた年数がかかる。シェールガスなどの技術進化に期待がかかるかもしれないが、シェールガスは米国内でエチレンなどの製造に用いられる量が拡大する可能性があり、低コストのエネルギーの供給が拡大するとは限らない。低炭素での火力発電技術の進化には期待しうるかもしれないが、エネルギーコストの上昇という負担の問題は残ってしまう。原発依存度を下げようという国が増えると、その分、石油や天然ガスをめぐる争いが激化するのである。

 石油や天然ガスをめぐる争いを緩和させるためには、新興国や途上国の省エネを促進させるという手がある。たとえばGDP成長率と電力生産成長率を比較すると、先進国と新興国・発展途上国で、大きな差が見受けられる(図表2参照)。源需要の問題を新興国・発展途上国では、資源利用効率を向上させる余地がまだ大きいのである。この問題の解決に先進国が貢献することにより、資源需要の問題を緩和することができる可能性がある。