唐木 明子
(からき・あきこ)

ブーズ・アンド・カンパニー 東京オフィス プリンシパル
東京大学法学部卒業、コロンビア大学ロースクール修了(LL.M)。外資証券会社にて社内弁護士として東京・ニューヨークで勤務。マッキンゼー・アンド・カンパニー、金融機関を経て現職。新規事業や商品・マーケティング戦略に伴う成長戦略を中心に、国内外のリテール、金融サービス業、ヘルスケア、その他分野のクライアントと取り組んでいる。

 同時に、事業成長機会としての「環境保護」も本格化している。電気・ハイブリッドなどの移動システムや、風力・太陽光などの自然エネルギーを活用したエネルギーの生産、都市のスマート化、各種のリサイクルビジネスなどのような既知の事業機会にとどまらず、新種の事業機会を模索する動きも出ている。生物多様性維持のためのオフセット制度などが100カ国以上で導入されており、あらかじめ多様な生物を含む生態系を作っておき、それをもとにオフセットする権利を販売する新ビジネスが例として挙げられる。

 環境を保護するための各種取り組みが盛り上がりを見せる一方で、「環境変化の受容」の動き、すなわちすでに起こり始めている環境の変化に対応し、あるいは将来的に何らかのかたちで起こりうる環境変化への認識を捉えて事業を行う動きも出ている。たとえば、農業分野では乾燥地対策が大きなビジネスになりつつある。遺伝子組み換え種子というと、日本ではあまり前向きに語られないが、グローバルには今後の業界の成長を牽引する存在としてデュポン、モンサント、シンジェンタ、BASFなどのグローバル大手各社がしのぎを削って開発に取り組んでいる。また、日本の各社がいっせいに取り組んだ「水ビジネス」も、水資源の不足を見越して水の確保や利用・再生などに関わる事業化を進めている例ということができよう。気温の上昇による農業面での変化への対応、自然災害にかかわるものなど、さまざまな可能性が考えられ、先を見越した動きが始まったところである。

 自動車や住宅建設、エネルギーなどの業界ではとくに、環境負荷の低い技術分野に成長機会を見出すことができる。しかし、この分野は各国のグローバル企業との争いになることは避けられず、量産効果を目指すグローバルなスケールでの競争になる可能性が高い。こうしたことを念頭に成長戦略を構想することが必要になる。

*第5回は2013年11月5日(火)公開です。

ブーズ・アンド・カンパニー
グローバルな経営コンサルティング会社として、世界のトップ企業及び諸機関に対し、経営レベルの課題を解決するコンサルティング・サービスを提供している。全世界57事務所に3,000人以上のスタッフを擁し、クライアント企業との実践的な取り組みを通じて、「本質的な競争優位」と「差別化された優れたケイパビリティ」の創出を支援することを使命とする。

 

【連載バックナンバー】
第1回「長期的ビジョンはなぜ必要なのか」
第2回「グローバル市場の変化を見通す」
第3回「グローバルな10のメガ・トレンド」