エネルギーや環境問題のさらに深いところで起きているのが、世界的な人口増とそれに伴う所得再分配のニーズの増大である。グローバリゼーションと経済発展に伴って労働力は大量に都市部に移動し、さらに国境を越えて移動する。こうして、全世界的にエスニック共同体がさらに生まれ、都市住民はさらに増加し、メガシティが拡大していく。一方でいわゆるボトム・オブ・ピラミッド(BoP)の存在感は増し、新興の中流層が創出され、所得格差の拡大は社会的な軋轢を生むであろう。そして、企業行動のグローバル化に伴って、サプライチェーンの相互依存関係は複雑化し、新たな標準化と規制が必要とされるようになる。さらに企業のグローバル化の過程では、人材の争奪戦がよりいっそう熾烈になっていく。こうした「人口動態と富」の要因に関しては、「人口動態変化」(メガ・トレンド③)「人口移動」(メガ・トレンド④)「富の再分配」(メガ・トレンド⑤)「ビジネスのグローバル化」(メガ・トレンド⑥)の4つがメガ・トレンドである。

 また、かつての東西構造・南北構造のような枠組みは崩壊しており、新興国・資源国、さらにはNGOなどの超国家的な団体の影響力が増す一方で、先進福祉国家では政治的、財政的、社会システム的な変化が見受けられ、さまざまなパワーシフトが起きはじめている。生活者はますます賢くなり、その趣向は複雑化し、個別化していく。また、各種の規制と相まって市場の透明性を要求するようになり、その力で社会やビジネスを変えていく。モビリティの向上と働き方の多様化はさらに進み、伝統的家族関係は変容し、社会や仕事における女性の役割は拡大し続ける。技術の適用、自動化の進展などにより生産性が向上し、デジタル化により個々人のつながりがさらに増す。こうした「社会と文化」分野の要因に関しては、「パワーシフト」(メガ・トレンド⑦)「さらに賢くなる個人」(メガ・トレンド⑧)「ライフスタイル変革」(メガ・トレンド⑨)「ネットワーキングと生産性」(メガ・トレンド⑩)の4つのメガ・トレンドが存在する。

 これら10のメガ・トレンドは、資源、人口、社会変化など、企業にとっての「需要サイド」に関する長期展望である。これに加えて、技術開発や商品開発など「供給サイド」における長期展望も必要という見方もあるかもしれない。しかし、「需要サイド」は30年先まである程度の予測が可能である一方、「供給サイド」、とくに技術革新のスピードや方向性に関する予測は想定外のイノベーションが起こってしまい外れてきたというのが、過去の長期予測資料のパターンである。