⑤現場自らが実行してもらうまで待つ

 次に、改善を実施する際ですが、管理者であるミドル・マネジャがやり方を教えたり、模擬的にやって見せることは必要ですが、重要なことは、現場の改善は、現場の従業員に実際に手を動かしてやってもらうことです。短期的な成果を上げるために、しびれを切らして管理者が自ら実行してしまうと、結局改善は我々の仕事ではないということになってしまって、せっかく始動しかけた改善活動も定着しません。ここはぐっと我慢して、時間がかかっても現場自らが実行してもらうまで待つ時間的余裕が必要です。

⑥改善活動は通常業務時間内に行う

 さらに重要なのは、改善活動は通常業務時間内に行うことです。改善活動は従業員自身の仕事の一環であることを認識させるためには、活動を業務時間内に行うことが必要です。仮に残業時間に行うのであれば、残業代を支払うのは当然です。一部の国内工場では、自主的な改善活動は自主的である故に、通常業務時間外にサービス残業として行うことが半ば慣例になっている事例も散見されますが、海外ではこのようなやり方は当然まかり通りません。

⑦改善活動の成果を明確に評価

 また、改善活動の成果はきちんと定量的に評価し、優劣を公表した上で、メリハリのある金銭的インセンティブを設定する必要があります。報奨金などの一時的なインセンティブだけでなく、改善活動に積極的に取り組み、改善の成果を出し続ければ、昇給・昇進が速いという人事評価の仕組みも重要になります。この点は、賛否両論あると思われますが、海外の工場では、良いものは良い、ダメなものはダメと明確に評価をしないと、熱心に取り組んでも見返りがないということになり、結局は活動が徐々に停滞してしまいます。

最後に

 海外工場での改善活動は、定着するまでに最低でも5~10年はかかると割り切り、理念ではなく、とりあえずやってみるという活動を重視する姿勢が極めて重要です。これまでは、いわば目に見えないビジョンや目的・価値観を現地に移植し、現地の人々とこれを共有しようという発想が強すぎたように感じます。これはそもそも文化や歴史が異なる海外では少々限界があるのではないかと考えます。むしろ、3Sのように具体的で目に見える活動を続けることこそが、日本の「ものづくり」文化と現地文化との融合を促進し、現場発の新たな「ものづくり」を創造する近道なのではないかと考えます。