先述の会議では、マーケティング担当の上級幹部による「セグメンテーションを信じていない」という一言によって、皆の意識や会話からタブーが取り払われた。通信分野で数十年の経験を持つ彼女は、次のように話してくれた。彼女が統括した一部の国々では、指揮下のマーケティング・チームはセグメンテーションの結果を省みなかったという。セグメンテーションをルーチンにすぎないと感じており、真剣なマーケターであれば当然やるべきと期待されているように感じながらも無視していた。またほかの地域では、マーケターたちはセグメンテーションを唯一のやり方として固執していたが、そのメリットを説明できる者はいなかったという。これぞまさに、ブードゥー教にも似た迷信である。

 会議で我々は、顧客が達成する必要のあるタスクの組合せに基づく、新たなセグメンテーションに取り組むことで合意した。以下に詳しく見ていこう。

ステップ1:顧客がその製品を使うコンテクスト(背景・文脈)を明らかにする

 携帯電話業界を例にとると「家族や友人と、ローミングを通じて連絡をとる」(ローミングとは、契約している事業者のサービス区域外でも、他の事業者の設備を利用して通信できるサービス)、「週末に出先で、最高のエンタテインメントと食事の機会を選ぶ」、「スマートフォンの利用について自信を深める」(安心して使えるように知識経験を身につける)などが挙げられる。複数の調査手法を採用している携帯電話サービス会社の場合、顧客ベース全体で50以上の達成すべきタスクが見つかるかもしれない。通常は、1人の顧客が特定のプロバイダーやブランドを通して複数のタスクを果たしているだろう。

ステップ2:そのコンテクストにおける顧客のトランザクションや行動に関する情報を組み合わせて、達成すべきタスクを明らかにする

 週末の娯楽を例にとると、まずエンタテインメント情報や地元のレストラン情報、映画評、などに関して行われた検索を見る。そしてソーシャルネットワーク上で行われたやりとり――たとえば映画やコンサート、レストランに関するツイート――を見る。そして両者を組み合わせてタスクを読み取る。「スマートフォンへの自信を深める」というタスクについては、コールセンターでのやりとりから得られたデータを使って、新しいスマートフォンであまり使われない機能を見つけたりできるかもしれない。

 個々の「達成すべきタスク」に関する有効なデータは、リサーチの初期段階で、異なる複数のコンテクストと入手可能なデータに応じて決まる。これは、広範な個々の変数(関連性の有無に関わらず、たとえば「音声通話の割合」など)を重視する伝統的な行動セグメンテーションとはかけ離れている。ここで求められるのは、そのコンテクストを特徴づけるのに必要なデータを包括的に捉えることである。