2.その情熱を育てる
 残念なことに、標準的なマネジメント手法は、意図せずに社員の情熱の火を消し、創造性を殺してしまうことが多い。だが、それらを萎えさせずにおくのはそれほど難しいことではない。我々は、内発的動機を促進できる唯一のカギを発見した。すなわち、社員が情熱を持って取り組んでいる仕事が進展するよう支援することだ。これが「進捗の法則」である。目立たない小さなものでもかまわない。のちの大きな飛躍につながるかもしれないからだ。この法則を実践するには、社員が日々経験する進捗と挫折を理解し、その根本的な原因を究明する必要がある。そして、進捗を阻むものを除去するためにあらゆる手を尽くし、「触媒」(進捗を直接後押しする行為)を提供することだ。

 触媒とはたとえば、創造性を発揮すべき人々に必要な資源を十分に与え、挫折が続かないよう配慮することだ。そして、プロジェクトの目標達成方法に関して、自主性を認めること。優秀な人材を雇ったのならば、その優れた能力を十分に発揮させないのはもったいない。また、成功と失敗の両方から学べるように支援することも必要だ。能力とは固定的なものではなく、長い時間をかけて成長していく。マルコム・グラッドウェルの言う「1万時間の法則」を肝に銘じて、有能な社員にあらゆる成長機会を与えよう。「1万時間の努力を費やさない限り、その分野で革新的なブレークスルーを実現できる専門家にはなれない」。そのような忍耐力を支えるのは、情熱である。

3.自分の情熱を問う
 マネジャー自身が仕事に対する情熱を持っていなければ、成功から遠ざかり、自分を頼りにしている周囲をも落胆させることになる。自身の強みを伸ばすこともできないだろう。筆者の1人であるスティーブは、情熱的な風景写真家でもある。写真家でメンターでもあるクレイグ・タナーは我々に、情熱と能力開発の関連性について重要なことを教えてくれた。タナーの優れたエッセー“The Myth of Talent”(才能の神話)には、次のような文がある。

「遠い先を見据え、情熱を持って訓練すれば、驚くほどの変化が起こる。何もできなかった初心者が、優秀なプロフェッショナルにもなる。挫折しては落ち込んでいた人が、情熱によって才能を開花させ、思うままに発揮できるようになる」

 自問してほしい。あなたは情熱によって、能力を伸ばし存分に発揮できているだろか。周囲の人々はどうだろうか。


HBR.ORG原文:Talent, Passion, and the Creativity Maze February 27, 2012

 

テレサ・アマビール(Teresa Amabile)
ハーバード・ビジネススクール(エドセル・ブライアント・フォード記念講座)教授。ベンチャー経営学を担当。同スクールの研究ディレクターでもある。

スティーブン・クレイマー(Steven Kramer)
心理学者、リサーチャー。テレサ・アマビールとの共著The Progress Principle(進捗の法則)がある。