戦略とは単一のものだ。1つのビジネスに戦略は1つである。複数の戦略のセットではない。戦略とは、複数の選択が統合されたものである。すなわち、①「自社の望みは何か」、②「どこで戦うのか」、③「どのようにして勝つか」、④「どのような能力が必要か」、⑤「どんなマネジメント・システムを設けるか」、についての選択である。

 そのような戦略は、どの事業活動が理にかなっており、望んでいる結果をもたらすかを示してくれる。そして計画策定を容易にする。リストにどの活動を含め、どの活動を含めないかに関して争いが減るのだ。なぜなら戦略により、何が重要で何が重要でないか、優れた判断ができるようになるからだ。

 戦略をこのように考えると、戦略計画を長さで判定するのにも役立つ。先に挙げた5つの問いには、1ページで簡単に答えられる。もし5ページ(つまり、1つの問いに1ページ)以上になったら、従来型の戦略計画に成り下がっていると考えられる。

 従来型の戦略計画の策定に一生を費やしてきた人は、この戦略の定義に不安を覚えるかもしれない。最近私は、売上高100億ドルの優良企業の幹部に、1日をかけて戦略のセッションを行った。優秀なCEOも一緒だった。1日が終わる頃には、(戦略部門のトップが入念な事前準備をしてくれたことも寄与し)望ましい形で選択の統合ができた。私は彼らの優れた思考とその日の作業を称え、素晴らしい戦略が完成したと思うと述べた。

 私が称賛したにもかかわらず、CEOは不安げだった。理由を尋ねると、彼は「やるべきことは、これだけですか?」と言う。まるで試験でズルをしたかのような様子だった。今年の戦略計画プロセスを終えたと感じるには、たくさんのページを使って長い事業活動のリストをつくらなくてはならないと考えていたに違いない。私はCEOに、策定した戦略が短すぎることはまったくないと念を押した。そしてこの日、戦略が計画に勝ったのだ。CEOはもう後戻りはしないだろうと思う。

 したがって、戦略が5ページを超えそうになったら問いかけるべきだ。「我々は5つの問いに答えているのだろうか。あるいは別のことを戦略と呼んでいるだけなのか」。もし後者だったら、そこから抜け出そう。


HBR.ORG原文:Don't Let Strategy Become Planning February 5, 2013

 

ロジャー L. マーティン(Roger Martin)
トロント大学 ロットマン・スクール・オブ・マネジメント
学長。
著書に『インテグレ―ティブ・シンキング』などがある。