川名:日本でCMOが流行ってきている背景には、将来的にCIOより予算をたくさん使うからではないかという見方があります。企業が使うIT費用はほとんどCMOの仕事になると見られているところからきているように思われますが、この見方には賛成されますか?

ステンゲル:フォレスターリサーチがすでに調査をし、CMOの投資額がCIOを上回るだろうというデータが出ていますので、そうなのだろうと思います。ただ、私が大事だと思うのは、CIOとCMOとの緊密な連携です。CIOのテクノロジー投資からCMOに提供できるものは多いはずで、CMOはそれを十分に活用するべきです。たとえば、モトローラソリューションズが実験的にB2Bビジネスで行い、100億ドル(米ドル)の売り上げを達成しているソリューションがあります。このプロジェクトの責任者は、今、CMOとCIOを兼務し、マーケティングとITの両方に責任を持っています。このやり方が向く企業と向かない企業があるでしょうが、CIO(IT)と、CMO(マーケティング)の融合や連携は、今後ますます必要となってくるでしょう。

アイデアの創造を重んじることが進歩を生む

川名:今年の全米広告協会(ANA)年次総会で第1回の「マーケティング・アナリティクス・リーダーシップ・アワード」が開催され、ジムさんは審査員を務められますね。このアワードへはどんなことを期待しますか?

ステンゲル:ANAは北米で最も敬意を払われている業界団体で、年次総会にはCMOを含め2000人もの参加者があります。スピーチも素晴らしいですね。カンヌはクライアントフォーカスであるのに対し、ANAはよりビジネスフォーカスで、事業の側面からいろいろと議論しています。

「マーケティング・アナリティクス・リーダーシップ・アワード」の授賞によって、組織を変革してもらいたいと思っています。組織を再定義したり、縦割りの仕組みを脱したり、クリエイティビティやアナリティクスをさらに高めてほしいのです。したがって審査では、きちんと変革できた組織を評価したいと思っています。具体的な評価ポイントとしては、持続可能な形でビッグデータを活用しているか、象徴的な成功事例であるか、新しいアイデアを発掘しているかということです。良いアイデアを生み出した人へ授賞することが、業界全体への追い風となると思っています。

川名:本日は誠にありがとうございました。

 

【連載バックナンバー】
第1回 カンヌライオンズでの新たな挑戦とCMOの役割(その1)
第2回 カンヌライオンズでの新たな挑戦とCMOの役割(その2)