CMOの責任は正しい問いかけをすること

川名:DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューは、今年の7月号で初めて「広告」を特集しました。広告代理店勤務の人が買ったのはもちろん、テクノロジー企業の人も買っていたようです。

ステンゲル:DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー7月号では、マーケットシェア社CEOのウェス・ニコルズが複雑なトピックを分かりやすく解説していましたね。ところで私が今、1番の問題だと思うことは、企業の形態が現代のマーケティング環境とマッチしていないのではということです。どんどん先進的な話がされているのに、企業の形態は30年前と変わらず縦割りで、ビッグデータは共有されていません。

川名:データは読み方に留意する面はありますが、縦割りの組織を横につなぐ可能性がありますね。組織のサイロ化を打破していくのではないかと。

ステンゲル:CMO、いやCTO(Chief Truth Officer)の責任は、正しい問いかけをするということです。そうすれば、データから答えが得られます。問いかけが適切でなければ、どんなにデータがあっても意味がありません。

川名:特にソーシャルメディアで語られているデータは、マーケティングファネル(注2)全体を理解するのに役立ちますし、組織のあらゆる部署に関係してくると思います。それを理解しているCMOは、ソーシャルメディアからの読みとりをとても重視しているのではないでしょうか。

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マーケティングファネル

ステンゲル:より自然に、そしてより頻繁に消費者と対話をするというところに優先順位を置いているように思われます。ソーシャルメディアはそれを実現する手段です。

 今年のカンヌの受賞作の1つに、「Dumb Ways to Die(おバカな死に方)」というオーストラリアの地下鉄の作品がありましたが、これはソーシャルメディアへの波及力がとても大きい企画です。内容は、どうすれば鉄道で轢かれて死んでしまう人を減らせるかというもので、歌とビデオを作って流布し、実際に死ぬ人の数を減らす結果に結びつきました。これぞ、クリエイティビティの力ですね。

 代理店のクリエーターは、人が死ぬのを防いでほしいというブリーフィングを請けたにもかかわらず、何とiTunesでトップ10に入るダウンロード数を成し遂げたのです。カンヌでも語られましたが、今後は広告なのか、いいコンテンツか悪いコンテンツかそれだけでしょう。