一方、我々自身の研究では、ミクロレベルでの解決策が明らかになっている。我々の「進捗の法則」に関する研究によれば、社員が強い意欲を持つ最大の要因は、有意義な仕事で進捗を得ることである。そして、毎日の進捗と意欲を促進するために、マネジャーは2種類の行動を実行できる。すなわち、「触媒」と「栄養分」を提供することだ。

 触媒は、明確な目標設定や必要な資源の提供など、仕事での進捗を直接支援する行為である。触媒は進捗を促すので、間接的に人々のやる気に影響を及ぼす。

 栄養分は、インナー・ワーク・ライフ(社員が職場で経験する感情、認識、モチベーションの絶え間ない循環)を強化するので、やる気に直接作用する。具体的には、敬意の表明、よい仕事への評価、困難な状況に直面している社員への感情面のケア、などの行動を含む。社員が栄養分をしっかりと摂取していると、インナー・ワーク・ライフは飛躍的に上昇する。社員の満足感は満たされ、自分を雇用している組織をポジティブに捉えるようになる。したがって社員のモチベーションは維持され、意欲的に仕事に取り組むようになる。

 社員が職場で十分な意欲を持って働くには、有意義な仕事に従事することが前提条件になる。これは、リーダーには糖尿病を撲滅するというような崇高な目標を立てる義務がある、という意味ではない。「価値のある何か」――人々の役に立つ製品やサービスなど――に毎日の仕事がどう貢献しているかを、すべての社員に理解させる必要があるということだ。その前提の下で、進捗に必要な日々の触媒を供給することによって、人々は有意義な仕事を成し遂げることができる。

 そして、社員に十分な意欲を持たせるには、彼らのインナー・ワーク・ライフを敬意、評価、激励といった日々の栄養分で満たすことが必要だ。簡単で、しかも費用のかからないマネジメント上の行動が、過小評価に悩む48%の労働者の意欲を大きく向上させるのだ。我々の調査のなかで、あるソフトウェア開発者が以下の業務日誌を記している。これは、ちょっとした交流でも大きな影響を及ぼすことができることを示すものだ。

「データベースの仕事に関して、プロジェクト・マネジャーから褒められた。この作業に私はかなり尽力してきた。その姿に彼女は大いに感心したようで、任務への献身に対する感謝の言葉をくれた。おかげで、その日はとても気分よく働くことができた」

 皆さんは、職場で過小評価や過大な負担を感じているだろうか。あなたがリーダーであれ個人で働いているのであれ、そのような状況に対する有効な解決策を持っているだろうか。


HBR.ORG原文:What Your Boss Needs to Know About Engagement November 16, 2011<

 

テレサ・アマビール(Teresa Amabile)
ハーバード・ビジネススクール(エドセル・ブライアント・フォード記念講座)教授。ベンチャー経営学を担当。同スクールの研究ディレクターでもある。

スティーブン・クレイマー(Steven Kramer)
心理学者、リサーチャー。テレサ・アマビールとの共著The Progress Principle(進捗の法則)がある。