男性の同僚は全速力で前進するのに、どうして女性はアクセルを緩めるのだろうか? 女性は、男性がする必要のない選択を迫られるからだ。私生活で大きな犠牲を払って仕事での成功を追求するか、夢を犠牲にして妻・母として家庭生活を大切にするか。CWLPの調査によれば、実際に幹部に昇進している女性回答者の41%が人生のパートナーを持たず、40%が子どもを持っていなかった。

 しかし、すべての野心的な女性が、ニナのような状況にとらわれるとは限らない。企業は、今日の厳しい市場で勝ち抜くためには最高の人材が必要であることをますます意識している。女性が私生活の充実を犠牲にすることなく、仕事での野心を表明し持続できるようなプログラムを導入する企業も増えている。

 女性に権力への道を開くそれらのプログラムは、トップに就くための道しるべを示し、支援を提供する。タイム・ワーナーの「ブレークスルー・リーダーシップ」、ドイツ銀行による女性幹部候補の登用推進戦略「ATLAS」、ノバルティスの「女性エグゼクティブ・リーダーシップ」などのプログラムは、高い潜在能力を持つ女性に対して次のような支援を行う。

 まず、積極的なキャリア・マネジメントのためのスキルを教える。そして、スポンサーとなって指導してくれる上級幹部との人脈づくりの機会を与える。さらに、自分だけが目立っているという孤独を感じずにすむように、同僚との強力なコミュニティを形成できるよう支援する。

 他の企業も、野心的な女性従業員のために安全な環境をつくることによって、有能な女性のパイプラインを拡大している。インテルの「リーチ拡大」プログラムは、女性の副社長たちを強力なスポンサー集団に仕立て上げるという斬新な取り組みだ。チーフ・ダイバーシティ・オフィサーのロザリンド・ハドネルはこう語る。

「女性幹部に、女性の上級管理職たちを指導してもらう、というのが我々の狙いです。女性管理職への認知度を高め、リーダーとしての役割を担わせ、ロールモデルとして行動させ、昇進の機会を増やすだけではなく加速させようとしています」

 ナタリー・ポートマンがスクリーンの外で示したように、自分の欲求を率直に認め、夢を実現するために、本来の自分を抑圧したり犠牲にしたりする必要はない。主役を目指し、ステージで喝采を浴び、女性らしさとプロとしての熱意の両方を誇示しても、何の咎めも受ける必要はないのだ。企業の強力な支援によって、もっと多くの女性がスターになれるはずだ。

原注:本記事はジャーナリスト、編集者、ゴーストライターとして活躍するメリンダ・マーシャルとの共著。


HBR.ORG原文:Does Female Ambition Require Sacrifice? February 25, 2011
 

シルビア・アン・ヒューレット(Sylvia Ann Hewlett)
非営利の研究機関、センター・フォー・ワークライフ・ポリシーの創設者、所長兼エコノミスト。