この点は、外貨建てで考えてみるとはっきりする。 1ドル80円なら、連結売上高は2万ドル+200万円÷80円/ドル=4万5000ドルで、連結売上原価は1万5000ドル+150万円÷80円/ドル=3万3750ドルなので、差し引くと連結売上総利益は1万1250ドルとなる。一方、1ドル100円なら、連結売上高は2万ドル+200万円÷100円/ドル=4万ドルで、連結売上原価は1万5000ドル+150万円÷100円/ドル=3万ドルなので、連結売上総利益は1万ドルとなり、減収・減益である。つまり、外貨建て財務諸表の換算においては、円安になると円建ての増収・増益になるが、外貨建てでは減収・減益になる。異なる通貨圏で、投資の回収・清算が行なわれないかぎり、この増収・増益、減収・減益は、かなりの程度、見掛け上のものであるといっていいように思う。

トヨタの場合はどうか?

 トヨタ自動車の場合、今期は1円円安になると、対ドルで営業利益400億円、対ユーロで営業利益40億円の増益になるという。トヨタ自動車の利益の為替レート感応率「1円円高になるといくら減る」「1円円安になるといくら増える」というのはよく話題になるが、積算根拠まで示したものは見掛けない。したがって、この利益の増減分のうち、どれだけがリアルな増減で、どこまでが換算による増減なのかよくわからない。そこで、簡単に手に入る自動車生産台数・販売台数の地域別セグメント・データをもとに推計してみよう。

 トヨタ自動車2014年3月期第1四半期決算の補足資料によると、前年同期の車両生産台数が223万6000台で当四半期が225万4000台となっており、生産台数は微増しているものの、前年同期の車両販売台数が226万9000台で当四半期が223万2000台と販売台数は微減している。とくに国内の販売台数が57万5000台から52万6000台へ減少しているのが目に付く。これには、エコカー補助金打ち切りの影響もあろう。一方、円安の影響もあってか、海外販売台数は、169万2000台から170万6000台へ増加している。

 第1四半期の国内の生産台数と販売台数を比べると、国内生産台数が105万9000台なのに対して、国内販売台数が52万6000台に留まることが注目される。車両生産台数が全体で225万4000台、車両販売台数が223万2000台(車両小売販売台数は248万台)と、それほど大きく違わないので、在庫が大きく変動したわけではない。したがって、日本で生産された車両のほぼ半分が輸出されていると考えられる。実際、海外生産台数は119万5000台なのに対して、海外販売台数は170万6000台もある。この3ヵ月で、50万台強の輸出があったということだろう。つまり、地域別に見た日本セグメントの売上げや営業利益も為替レートの影響を受ける。そして、この日本セグメントの売上げや営業利益に対する影響が、輸出に関わるリアルな為替変動の影響と考えられる。