女性にはすでに、十分すぎるほどのメンターがいる。だがスポンサーを持つ女性は、いまだに男性の同僚の半数ほどだ。結果として、女性は「スポンサー効果」の具体的な恩恵を受けていない。

・スポンサーがいない場合、上司に対して「ストレッチ・アサインメント」(よりチャレンジの多い任務)を求めるのは、男性の43%、女性の36%である。スポンサーがいる場合には、その割合は男性56%、女性44%に増える。

・スポンサーがいない男女の大半(男性67%、女性70%)は、昇給について上司と交渉しようとはしない。スポンサーがいれば、男性の半数、女性の38%が、交渉する勇気を奮い立たせることができる。

・スポンサーは測定可能な22~30%のメリットを庇護対象者のキャリアにもたらしている(その内容[任務か昇給か]や対象者[男性か女性か]によって結果は異なる)。

 なぜ、女性はスポンサーを得ることに苦労するのか。スポンサーがいても、うまく活用できていないのはなぜなのか。明らかになったのは、野心的な女性の大半が、スポンサーシップが昇進に果たす役割を過小評価していることだ。インテルのチーフ・ダイバーシティ・オフィサー、ロザリンド・ハドネルは、こう述べている。「自分のキャリアが、直属の上司を超え複数のリーダーたちによって決定されるレベルに達すれば、ほかのリーダーたちによる推薦が必須となります。その際に後押ししてくれるスポンサーを持つことは、決定的に重要です」

 研究によって、さらに重要なことが明らかになった。スポンサーとの関係の重要性を理解している女性でも、それを効果的に活用できていない。

 多くの女性は、「誰を知っているか」によって昇進が決まるのは本質的に不公平で、「汚い」やり方とさえ感じている。そしてこの感情に拍車をかけているのは、前回の記事で紹介したような世間の邪推だ。すなわち、権力を持つ男性上司による女性の部下へのスポンサーシップには、性的関係が介在している、という思い込みである。

 多くの有能な女性は、みずからの勤勉な努力のみが相応の報酬と評価をもたらすという考えに固執している――その考えによって、やりがいのある任務や昇給、昇進の機会が見送られている場合でも。

 上記の調査結果は、デロイト・トウシュ・トーマツのバーバラ・アダチが「アナリティクスと現場の狭間にある“ミッシング・リンク”」と呼ぶものを示している。これは個人だけではなく、有能な女性社員の成功に必要なスポンサーシップを促進したいと望む企業にとっても盲点になっていた。

 アメリカン・エキスプレスのシュノールトは、「人材パイプラインと経営層に女性を」という同社のプログラムを彼みずからが推進する理由を説明しながら、「人口統計には逆らえません」と明言した。

 このプログラムは、有能な女性社員にスポンサーを獲得する方法を教え、上級幹部とのコネクションを持たせるものだ。仕事に積極的に取り組む従業員が増えれば、企業の競争力は高まる。そして同社の全世界における従業員の60%以上が女性であることを考えれば、その潜在能力を発揮させるために後ろ盾を探すことは不可欠だと彼は説明し、こう述べた。

「我々は、適切な人材と適切な方法で、市場の勝者となることを望んでいます。そのための1つの手段が、スポンサーシップなのです」


HBR.ORG原文:The Real Benefit of Finding a Sponsor January 26, 2011

 

シルビア・アン・ヒューレット(Sylvia Ann Hewlett)
非営利の研究機関、センター・フォー・ワークライフ・ポリシーの創設者、所長兼エコノミスト。