コメントをいくつか紹介しよう。「男性幹部も苦労しています。部下の女性を昇進させようとすれば、特別な関係にあるのだと周囲から疑われ、反発を買う恐れがあるのですから」。女性も苦労している。「とりわけ私が独身の頃には、男性の上司とどう接したらいいか、とても気を遣いました。相手が幸せな結婚生活を送っていて、私にはまったく関心を持っていないとわかっていてもです」

 さらに憂慮すべきは、次のようなコメントが示唆するものである。「年上の男性上司が、年下の部下の女性を後押ししようとすれば、妙な誤解を受けることは避けられない」――避けられない、とはどういうことだろうか。女性の部下と上司の男性との有意義な連携がねたまれ、わいせつな関係と見なされて公然と批判される。このコメントは、そんな職場環境を象徴するものだ。

 さらに悪いケースもある。部下の女性のメンターになれば、いちゃついていると思われてしまう――男性幹部がこう恐れることで、女性が完全に雇用機会を奪われてしまうこともあるのだ。「夫は、若い女性スタッフの雇用にとてもナーバスです。妙な噂を立てられたくないからです」。続きを読めば、なるほどと思わされる。「夫の以前の共同経営者のうち何人かは、実際に職場の女性と不倫関係にあり、周囲に不快な思いをさせていました」

 こんな意見もあった。不健全な関係を避ける最も健全な方法は、地位が対等でない社員同士の性的関係を禁じ、そのような行為が発覚した時には上司を罰すればよい、というものだ。大学や軍隊ではそういった方針がとられ、権力を握る者はさらに上の権威への報告を義務づけられている。とはいえ、たいていの職場では、上司自身がその権威だ。人事部がこういった方針をあまねく強制できるだけの権限を持ちうると期待するのは、考えが甘いだろう。CEOはもっと大きな権力を握っているのだから。

「オールド・ボーイズ・ネットワーク」は、ハードやフィリップスら大勢の仲間を守った。数がものを言う証だ。女性幹部の数が少なすぎることは、常に女性にとってハンデとなってきた。下劣な噂に明白な事実を突きつけて対抗することさえできない。もちろん、女性幹部によるスポンサーシップの機会が限られるという問題もある。最高の解決策は、有望な女性の才能(セックスアピールではない)にスポットライトを当てる取り組みを通して、より大勢の女性たちをもっと高い地位に就かせることである。

 先見の明のある企業は、すでにこの課題に取り組んでいる。アメリカン・エキスプレスによる「人材パイプラインと経営層に女性を」というプログラム、インテルの「人材育成プログラム」、デロイト・トウシュ・トーマツの「リーディング・トゥ・ウィン」、モルガン・スタンレーの「女性の新任管理職に対するリーダーシップ・プログラム」。いずれも、潜在能力を持つ女性を特定し、リーダーシップ・スキルを強化し、ネットワークを形成する手助けをし、スポンサーとなりうる経営幹部に紹介する試みである。これらは女性に閉ざされていたドアをこじ開ける手段を与え、女性が不安を感じず、中傷や反発を受けずに堂々と野心を追求することを可能にするものだ。

 有能な女性の成功を組織の優先事項として公にし、その公約を守るために充実した支援を提供する。これは、職場での不適切な性的関係を払拭し本当に大切なことに焦点を当てるための、最も確実な方法である。


HBR.ORG原文:Threatened by Scandal, Women Need Support September 15, 2010

 

シルビア・アン・ヒューレット(Sylvia Ann Hewlett)
非営利の研究機関、センター・フォー・ワークライフ・ポリシーの創設者、所長兼エコノミスト。