クラウドソーシング(集合知)のキャンペーンによって、質の高いアイデアを引き付けてイノベーションの有効な手段とするためには、以下のガイドラインを守るとよいだろう。

●目的を明確にする
 問題が何であるかを具体的に、シンプルな言葉で定義する。ネットフリックスは、「現在の推薦機能を成果ベースで10%以上上回るアルゴリズム」を求めた。問題の定義が曖昧なら、答えも曖昧なままだろう。

●適切なクラウドに狙いを定める
 クラウドソーシングから最高の成果を引き出すためには、どこに適切なクラウドがいるかを知らなくてはならない。ナノテクノロジーに関するキャンペーンなら、フェイスブックでつながる大衆よりも、工科系の大学を対象にしたほうがいいだろう。

●知的財産権を明確にする
 クラウドから応募されるアイデアが誰に帰属するのかを、明確に定めておく。アイデアの所有権をめぐる法律上の問題を回避し、訴訟に巻き込まれないようにするためだ。

●ネットワークを育む
 賞金以外にもクラウドを動機づける方法を考えよう。ロレアルのキャンペーンは、参加者がブランドに抱いている愛着を刺激して興味を引き付けた。参加者はブランド支持者であるため、自分がすでに使っている製品の方向づけに貢献できるというメリットがある。参加の見返りとして、製品に対するポイント還元や企業のイベントへの招待などは、ブランド支持者が形成するクラウドの多くの人にアピールするだろう。

●キャンペーンを十分に知らしめる
 自社のウェブサイトで公募を発表することは、キャンペーンの1ステップにすぎない。成功させるためには、科学者や愛好家、大学関係者、場合によっては失業中の人々にも周知を行い、注意を喚起する必要がある。

●ソリューション・プロバイダーと連携する
 企業がクラウドソーシングをうまく活用できるよう支援する、ソリューション・プロバイダーがいる。イノセンティブアイデアコネクションのようなプラットフォームは、企業がクラウドの中でも最高の人材にアクセスできるようにするサービスを提供している。大学や業界団体とのパートナーシップを結び、それらを通して適切なクラウドへのアクセスを広げているのである。

●自前の計画も準備しておく
 クラウドが毎回あなたの事業を救ってくれるわけではない。

 クラウドからビジネスのアイデアを集めるのは簡単ではなく、常にリスクを伴う。クラウドソーシングによって企業は無自覚のうちに、製品開発戦略で競合にリードを与えてしまう場合もある。データをクラウドと共有する際に、知的財産が漏えいする危険もある(ネットフリックスは、主催したキャンペーンでデータを提供した)。しかし知的財産侵害のリスクがあるにせよ、多くの企業は、大衆の知恵を活用することでブランドに有益な示唆を得られるだろう。

HBR.ORG原文:Business Ideas from the Crowd September 23, 2010

 

ヌドゥブイシ・エケクエ(Ndubuisi Ekekwe)
アフリカにおけるマイクロエレクトロニクスの発展を目指す非営利団体、アフリカン・インスティテューション・オブ・テクノロジーの創設者。