実は私も、彼女の不満はもっともだとわかっていた。でも、会話をこれ以上ネガティブな方向に持って行かないように、なるべくポジティブであろうと努めたのだ――。

 エリナーとこの話をしたあと、私は意外な洞察を得ることができた。ネガティブ志向に「対抗」する必要はない、ということだ。

 ダンはチームに対して、「だらしない姿勢をたたき直してやりたい」というネガティブな反応、そして「我々の前にはどれほど大きなチャンスが広がっているかを強調した」というポジティブな反応を見せた。チームに「対抗して」である。

 しかしもっと効果的なのは、ネガティブな要素とポジティブな要素を、相手と「分かち合う」ことだ。ネガティブな人々の態度を変えるよい方法として、次の3つのステップを提案したい。

ステップ1:相手の思いや感情を理解し、受け止める。
 これは時として、相手のネガティブな感情を助長させるだけのようにも思えるかもしれない。しかしそうはならない。ネガティブな姿勢に対して同意も正当化もしない。ただその胸中を理解したことを示すだけでよい。

ステップ2:賛同できる部分を見つける。
 相手の言うことのすべてに賛同する必要はない。一部でもよいので、共感できる部分を見つける。そしてどの部分に共感できるかを、相手に伝えよう。

 ステップ1と2は、相手のネガティブ志向に対抗するのではなく、分かち合うものだ。これによって相手は安心し、胸襟を開く。相手が独りではなく、自分がそばにいることを理解させるためのプロセスだ。

 私はエリナーに、「子どもたちに対してそんなに否定的になるべきじゃない」という方向で話をするのをやめた。実は自分も、子どもたちのいさかいには手を焼くことが頻繁にある、と正直に告げて彼女の苦労に共感を示した。なお、単に「あなたの気持ちはわかります」という簡潔な言葉では十分ではない。共感する部分を具体的に言う必要がある。

ステップ3:相手のポジティブな部分を見つけ、強調する。
 もっとポジティブになろう、と説得するのではない。相手の感情にどこかしらポジティブな部分がないか、注意を払うのだ。それはきっと見つかるはずだ。なぜなら、100%ネガティブな人など滅多にいないからだ。もしそんな人がいたら、どうするか。あなたがポジティブな部分を持つ人だけを支援する、ということを見せつけるのだ。要は、ポジティブな感情に対してポジティブな関心で応え、具体的に希望を示す、ということだ。ポジティブな姿勢を植え付けようと口先だけで繰り返すのではなく、相手がすでに持っているポジティブな感情を利用する。これが「具体的に」という意味だ。

ステップ3は、ポジティブな姿勢をもって相手に対抗するのではなく、ポジティブに共鳴し合うプロセスだ。ポジティブな言動に対して、あなたは関心を向け支援を提供する――この意図を相手に伝えるのだ。これにより、負の循環を逆転させることになる。

 私はエリナーとの話し合いで、子どもたちを仲良く遊ばせるうえでこれまで何が有効だったのか尋ねてみた。彼女は前日の朝のことを挙げた。アート関連の作業をさせて、子どもたちの興味関心をうまくコントロールできたという。また、エリナーと私が別々に、子どもたち1人ずつに手伝いをさせたり課題を与えたりする時は、行儀よくしているという。

 こうして、私たちの会話は5分もしないうちに、ネガティブな方向から反転しポジティブなものになった。