ヤングがフリーソフトと独自ソフトのモデルを並べて検討してみると、両者はまったく相容れないように思えた。だが、モデルの内実をよく見てみると、表立ってはいなかった点――隠れた宝石――がそれぞれに見えてきた。それらを選んで組み合わせれば、新たなモデルがつくれるかもしれない。

 ヤングは独自ソフトのモデルからは、サービス収入を選び出した。このモデルではライセンス収入が売上げの大部分を占めるが、サービス収入も非常に魅力的な収益源となる可能性がある。

 フリーソフトのモデルからは、ソースコードにユーザーがアクセスできるという特徴のみを選び出し、残りの部分は捨ててしまった。フリーソフトの収入源となる、ディスクの通信販売もやめた。インターネットでダウンロードできるようにして、完全に無料化したのだ。

 その結果、非常に興味深いことが起こった。完全無料化したことで、レッドハットは突然市場シェア1位となった。これにより、大手の法人顧客は同社をリナックスの大手サプライヤーとして認め、パートナーにふさわしいと見るようになったのだ。そしてリナックスを自社のサーバーに安心して使うようになり、同社からサポートサービスを購入するようになった。

 こうしてレッドハットはリナックスのサプライヤーとして独占的な地位を築き、70%の市場シェアを獲得した。さらに、リナックスをマニアやハッカーのための製品ではなく、大手企業も使う製品として定着させることができた。

「隠れた宝石」の戦略を示す、完璧な事例である。


HBR.ORG原文:Finding the Hidden Gems in Your Business Model February 22, 2011

 

ロジャー L. マーティン(Roger Martin)
トロント大学 ロットマン・スクール・オブ・マネジメント
学長。
著書に『インテグレ―ティブ・シンキング』などがある。